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堀江貴文が語る、ジャニーズ事務所「新時代の海外戦略」――“嵐×Netflix”はテレビ主役時代の「終わりの始まり」堀江貴文の「スマホ人生戦略」(1/3 ページ)

IT起業家として、インターネット黎明期から第一線を走り続けているホリエモンこと堀江貴文。堀江の行動原理はしばしば「多動」とも呼ばれているが、その多動的な行動を支えているのは実はスマートフォンだ。堀江は自身の仕事においてPCはほとんど使わず、スマホを使って多くの関係者とコミュニケーションを取りながら複数のビジネスを回している。第2回はジャニーズ事務所の海外戦略などを例に、動画配信が変えるビジネスの変化について語る。

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 IT起業家として、インターネット黎明期から第一線を走り続けているホリエモンこと堀江貴文。堀江は現在、オンラインサロンを主宰したり(関連記事)、「WAGYUMAFIA」と呼ばれるグルメビジネスに取り組んだり(関連記事)、さらには宇宙開発事業に取り組んだり(関連記事)、幅広い事業を自身の関心の赴くままに取り組んでいる。

 そうした堀江の行動原理はしばしば「多動」とも呼ばれているが、その多動的な行動を支えているのは実はスマートフォンだ。

 堀江は自身の仕事においてPCはほとんど使わず、スマホを使って多くの関係者とコミュニケーションを取りながら複数のビジネスを回している。移動中などの空き時間をはじめ「シャワーと歯磨きのとき以外は常にスマホ」を見ながらインプット、アウトプット、報連相まで完結させている。毎週月曜に配信しているメールマガジンの原稿も、当然のごとくスマホで執筆しているのだ。

 そうした堀江の働き方やビジネスの方法論をまとめたのが近刊『スマホ人生戦略 お金・教養・フォロワー35の行動スキル』(学研プラス)だ。

 この連載では今まで語られなかった堀江の“スマホの真実"を数回にわたってお届けする。第1回の「ホリエモンが語る飲食ビジネス「集客成功の法則」――世界のセレブを落とし続けた「インスタマーケティング」の秘密」では堀江が携わっている最高級の和牛ブランドを世界に広める飲食事業「WAGYUMAFIA(ワギュウマフィア)」を例に、飲食ビジネスにおける集客を成功させるための法則について語ってもらった。第2回はジャニーズ事務所の海外戦略などを例に、動画配信が変えるビジネスの変化について語る。(一部、敬称略)

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堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。2019年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ゼロからはじめる力 空想を現実化する僕らの方法』(SBクリエイティブ)『スマホ人生戦略』(学研プラス)『捨て本』(徳間書店 )など多数(2020年1月、山崎裕一撮影)

“嵐×Netflix”が意味するもの

 ジャニーズ事務所の人気アイドルグループ・嵐が、2020年末に活動休止する。そして、活動休止までの彼らの軌跡を追ったドキュメンタリーが、Netflixで独占配信されている。国内市場だけでなく、全世界に向けた配信だ。

 想像だがNetflixとのタッグは、ジャニーズ側が持ちかけたものだろう。事務所はBTSなどK-POPのグローバル市場での成功モデルを、確実にベンチマークしている。嵐という最大級の看板を使って、その成功を追いかけ、本格的に世界に打って出ようというビジネス戦略がうかがえる。

 嵐×Netflixの事例は、テレビが主役だった時代の、終わりの始まりだ。人気アイドルのセンセーショナルなドキュメンタリーは、ひと昔前だったら間違いなくテレビが独占していただろう。だが嵐ほど知名度の高いアイドルだったら、コンプライアンスが厳しかったり、グローバル対応もできていないテレビと組むメリットは、あまりない。資金力が豊富で、何より欧米圏・アジア圏の巨大なマーケットを狙っていける動画配信の会社と組む方が、いいに決まっている。

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嵐の軌跡を追ったドキュメンタリーが、Netflixで独占配信されている(ロイター提供)

 発信力の高いアイドルやアーティストが、最高のパフォーマンスを提供する場として、テレビではなくネットを優先する現象が、普通に起きているのだ。

 それは視聴体験の変化が、大きく関係している。4G環境が整い、スマホで動画を見ることが、どこでも可能になった。放送時間にわざわざ家に帰って、テレビをつけないと見られない制約だらけの視聴と、手元のスマホの画面で、繰り返し視聴を利用して好きな時間に、電車の中でもカフェでも友達の家でも制約なしに見られる環境と、どっちが便利か? 考えるまでもない。

 「見たい動画を見る」という、人々の欲求を引き受けているのは、もうテレビではなく、スマホへ移行しているのだ。

 嵐とNetflixのタッグは、社会全体において、象徴的な出来事だと思う。音楽の分野では、先んじて変化が訪れた。Spotifyなどサブスクリプションモデルが受け入れられ、楽曲もスマホでの最適化が進んだ。僕が発表した新曲『NO TELEPHONE』も、海外アーティストの制作方法を参考に、冒頭の20秒でリスナーをつかむメロディに構成している。

 「見る・聴く」の娯楽の大部分は、スマホで完結する時代になろうとしているのだ。動画だけ、テレビが主役であり続けるはずはない。

テレビは長く、最大の映像メディアとして国民に重宝されてきた。しかし見る場所など制約の多いテレビは、スマホによる動画の視聴体験そのもの急速な進化に、対応できていない。衰退していくのは必然のメディアと言える。

 世のなかを動かすようなコンテンツや一流のパフォーマンスが見られる場は、これからはスマホなのだ!

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ジャニーズ事務所はBTS(防弾少年団)などK-POPのグローバル市場での成功モデルをベンチマークしていると見られる(ロイター提供)
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