コロナ不況に「がんばれ日本!」が、まるっきり逆効果になってしまうワケ:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、自粛生活が長引いている。そんな中で、「がんばれ!」という言葉をよく耳にするようになった。「がんばれ、もう少しの辛抱だ」「気を緩めてはダメ、がんばれ」といった文言が多いが、こうした傾向に対して、筆者の窪田氏は警鐘を鳴らしている。どういうことかというと……。
「がんばれ! あともう少しの辛抱だ」「ここで気を緩めたらダメだ、がんばれ!」「コロナに負けるな、がんばれ」――。
長引く自粛生活を受けて、日本中で「がんばれ」の大合唱が起きている。有名人やスポーツ選手がリモートで、「こんなときだからこそ心をひとつにしてがんばりましょう!」なんて呼びかけを盛んに行っているのだ。
そんな「ガンバリズム」ともいうこの機運を日本経済復活の起爆剤にしようという動きもちょこちょこ出てきている。例えば、大阪観光局は「がんばろう日本!We are OSAKAプロジェクト」を発表。大打撃を受けている観光業者に賛同を呼びかけて、感染拡大防止につとめつつも一刻も早い観光需要の回復へ向けたキャンペーンを展開していくという。
「景気は気から」という言葉もあるように、経済対策に精神論を持ち出すこと自体は決して珍しくない。昨日、年率換算でマイナス3.4%まで落ち込んだと発表されたGDPの半分以上は個人消費が占めているため、我々国民のマインドセットが変わるだけで、日本経済はだいぶ影響を受けると考えられているのだ。
しかし、残念ながらアフターコロナの日本で、このような「ガンバリズム」はほどほどにしておいたほうがいい。景気を回復させるどころか、事態をさらに悪化させてしまう可能性のほうが高いからだ。
ウイルスという気合や根性ではどうにもならない問題に対して、「がんばれ!」「負けるな!」と絶叫している様が、ロクな指導もしないで精神論を振りかざすパワハラ上司やブラック部活顧問と丸かぶりということもあるが、「ガンバリズム」に百害あって一理なしは、実は歴史が証明している。
国民が「がんばれ日本!」と叫んで歯を食いしばって一生懸命働けば働くほど、日本全体の経済が悪くなってきたという動かし難い現実があるからだ。
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