コロナに苦しむ飲食店の“救済”に格差 カリスマシェフが指摘する重大問題:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
新型コロナの影響に苦しむ外食産業。家賃支援に関する与野党の法案が出そろったが、政府の対応が遅いので連鎖倒産の可能性を指摘する声も出てきた。
野党案を支持する理由
同じく「外食産業の声」会見で登壇した、DDホールディングス取締役で、ハワイアンカフェ「アロハテーブル」が人気のゼットン創業者・稲本健一氏も、「与党案は、3店以上を経営する意欲的な経営者ほど厳しい。営業ができない場所で、無駄に家賃だけ払えない」と、松田氏に呼応する。
DDホールディングスは、2020年2月期決算で売上高573億6900万円(前年同期比12.5%増)、経常利益29億1600万円(同30.6%増)となり、売り上げ、各種利益ともに過去最高となっている。ところが、稲本氏によれば、4月の売り上げは休業した結果、前年比98%減になった。まさに、これから飛躍の時と意気込んでいた矢先にコロナ禍に襲われた。
稲本氏も、東京の山手線内の家賃はとりわけ高額で、1企業、1個人の頑張りではどうにもならないと訴える。
「外食オーナーに事業を一度畳んでやり直せとアドバイスをする人もいるが、もう一度再興するのは大変過ぎる。これまでの実績を信じて、現状のまま行かせてほしい」と、稲本氏も打開策を探っている。
野党5党(立憲民主党、国民民主党、共産党、社会民主党、日本維新の会)は共同で、2割以上売り上げ減となった資本金10億円以下の中小事業者に、日本政策金融公庫が家賃を1年間肩代わりするのを骨子とした法案を4月28日、衆議院に提出している。開業前の家賃も対象とし、場合によっては家賃免除や猶予期間の延長もあるとしている。家主には減額分の一部、8割程度を国が補助する。
家賃を減額する不動産オーナーを補助する仕組みは、神戸市が導入している。家主にとっても、不況で家賃が暴落して安価で次のテナントに貸さざるを得なくなるより、有利ではないだろうか。
野党案ならば頑張っていけるというのが、松田氏、稲本氏をはじめ中堅企業の本音だ。
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