ワインのようなボトルに入って5000円 意外な進化を遂げていた日本の「お茶」:食の流行をたどる(2/5 ページ)
飲食店で食後に無料で提供されることが多い日本のお茶。付加価値を高めて売ろうとする新しい動きが出ている。どういった戦略なのか。
1本500円のお茶が即完売
国内のお茶の進化については、5つの事例を紹介したい。
1つ目は、「ペットボトル」を中心としたボトルドリンクの進化である。ボトルドリンクは、今、高級化されているのだ。この高級化には「手に取りやすい範囲の高級化」と「ペットボトルの概念を覆すほどの高級化」がある。
通常、自動販売機やコンビニで150円が価格の主流であるペットボトルに、「トクホ」「新茶葉」「限定」といった付加価値をつけ、10〜30円ほど高い商品が展開されている。30円ならばさほど大きな値上げともいえないため、お客はつい購入してしまう。しかし、30円の値上げは2割増である。この「ちょっと高級」で拡販させることで、お茶の単価アップに成功しているといえる。
ペットボトルの概念を覆すほどの高級化はどうか。ジャテックスが販売した「遥香 新プレミアム日本茶」は1本200ミリリットルで500円を超える価格だったが、即完売となった(現在は販売終了)。また、1本5000円もする木箱に入った超プレミアム日本茶「玉露ほうじ茶 KAHO 香炉」は、ホテルの和食レストランなどで、まるでワインのように扱われている。どちらの商品も、お茶好きが自身のために購入するだけではなく、ちょっと気の利いた手土産や贈答品としてのニーズにも対応している。
100種類のお茶割を提供
2つ目の例は、専門店化だ。カフェ利用として日本茶を楽しめる「和カフェ」は安易に想像がつくと思う。しかし、料飲シーンで専門店化されている大変興味深い店舗がある。その名も「茶割」。10種類のお茶と10種類のアルコールを掛け合わせ、100種類のお茶割を提供しているのだ。
「お茶=ヘルシー」なイメージが強いため、女性客が大半を占め、予約が取りづらいお店として知名度を上げている。また、提供する商品が100種類あるため、さまざまな味を試してみたいという消費者心理がくすぐられ、料飲杯数が伸び、単価アップが狙える。また原価を抑えやすいドリンクでもあるため、利益率も高いのではないだろうか?
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