いま、総務部門から「DX」を始めるべき理由:新連載・「総務」から会社を変える(4/4 ページ)
新型コロナで大きく変わった企業環境。テレワークの導入やオフィス構築、従業員管理など、企業にはさまざまな課題が新たに課されている。こうした課題を解決するための最前線に立つのが「総務」だ。いま、総務担当者が考えるべきこととはどういったことなのか? 『月刊総務』の編集長である豊田健一氏の新連載。
総務が変われば、会社が変わる
『月刊総務』の編集長が執筆しているので、皆さんの想定通りだと思うが、この実行部隊こそ「総務」なのである。そして、この総務がいま大きく変化しようとしている。いや、正確には、変化しなければならない。
総務の可能性を表した言葉として、「総務が変われば、会社が変わる」というものがあるのをご存じだろうか。説明したように「働き方改革」の実行部隊は総務だ。その総務がオールドスタイルな働き方をしていては、新しい時代を企業が生き残ることは難しい。
記したように、新型コロナウイルス感染症対策で、多くの企業がいきなりテレワークをすることになり、総務担当者はその旗を振りつつ、自らも実践しているところだろう。しかし、いまだ出社している総務メンバーは多いと聞く。代表電話対応、郵送物の対応、押印作業……。これらの業務により、誰かが当番制で出社する必要があるのだ。それ以外にも、多くの紙の申請書がある、物理的な仕事が存在するなど、他の部門に比べ「デジタル化周回遅れ」の感があるのが総務業務だというのは残念ながら事実だ。
全社の生産性向上の実行部隊であるはずの総務が、テレワークもままならない、生産性の低い部署であっていいのか。ここに多くの総務の方々がようやく気付き始めている。総務が取り組むべきは、「総務のデジタルトランスフォーメーション(DX)」であることは論をまたない。アナログ的、物理的な仕事が中心である総務の仕事を、デジタル技術により効率化を図ることは、喫緊の課題なのだ。
しかし、ここで注意してほしいのは、効率化や、デジタル技術を「使う」ことが目的ではない点だ。効率化することで、総務内の人的、時間的なリソースを作り、全社の生産性向上をさらに進め、働き方改革を完遂するのが真の目的なのである。会社を変えるための施策を企画し、総務が主導し進めていく。会社継続、変化への対応のために、総務が、その本来の役割を十二分に果たすための、そのための効率化/デジタル化だろう。
本コラムではこれから、この目的をぶらさず、総務におけるDXについて、筆を進めていくことにする。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
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