中国の“嫌がらせ”を受けるオーストラリアに、コロナ後の商機を見いだせる理由:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
新型コロナを巡って、オーストラリアと中国の関係が悪化している。もともと両国の経済関係は深いが、中国は買収や投資によって影響力を強めており、オーストラリアでは不信感が募っていた。対立が深まる今、オーストラリアが日本との関係を強化する期待もできそうだ。
日本は「オーストラリアとの関係強化」に期待できる
日本としては、オーストラリアが中国と距離を置くことで、オーストラリアとの関係強化が期待できる。両国はこれまでも良好な関係を築いているが、その関係がさらに強まるかもしれない。事実、今後海外進出を考えている豪企業への調査では、進出先として日本は5位に入っている(19年調査)。1位は中国で2位は米国だが、今年に入って中国とは対立し、米国は新型コロナや国内の暴動が不安要因として懸念されるようになっており、自ずと日本への注目も高まりつつある。
さらに、オーストラリアが進めているスマートシティ計画でも、日本の先端テクノロジーが注目されており、何かと警戒される中国製品よりも期待されている。オーストラリア国内では南東部などで大型のインフラ開発が進んでおり、そうした事業でも日本への期待が高まっている。
国民感情的にも、オーストラリアは中国よりも日本にさらに近づくだろう。新型コロナが落ち着けば、さらなる商機も見えてくるかもしれない。世界を見据えているビジネスパーソンならしばらくオーストラリアの動向は要チェックだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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