長く低迷していたインスタント袋麺のブレイクは、“復権”の兆しなのか:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
これまで長く低迷してきたインスタント袋麺が、この3月から急にブレイクしている。「ステイホームの影響で売れているんでしょ」と思われたかもしれなしが、自粛解除後も売れているのだ。背景に何があるのかというと……。
「インスタント袋麺の魅力」が再発見
とはいえ、いくら絶大な影響力のある番組でも単体でここまでの勢いを生み出したわけではないはずだ。マツコ効果にオンする形で、この3月から日本人の行動や意識が大きく変わったことによって、「インスタント袋麺の魅力」が再発見されたとみるべきだ。
もちろん、ヒットというのはさまざまな要素が複雑に絡み合った結果なので、これが原因だなどと単純に割り切れるものではないが、その中でも以下の3つの要素が果たした役割が大きかったのではないか、と個人的には考えている。
(1)カップ麺よりもアレンジができる
(2)カップ麺よりもコスパがいい
(3)カップ麺よりも「体に悪くない」というイメージがある
まず(1)の「カップ麺よりもアレンジができる」は多くの説明はいらないだろう。カップ麺よりも手間がかかるということは、具材やちょい足しで味にバリエーションができるのでカップ麺よりも飽きがこない。そんなアレンジ力が「おうちごはん」のトレンドにハマったのである。
ご存じのように、ステイホームによって自宅での料理をする機会が急激に増えた。子どものいる家庭では休校によって給食がないので、昼食をつくらなければいけなくなった。ひとり暮らしの若者も、とにかく時間ができたので、簡単なものくらい自分でつくってみるかという人が増えたのだ。とはいえ、やはりあまりにも手間がかかるものは面倒くさい。
そこで、麺を茹でるという手軽さな割に、さまざまなアレンジで料理っぽいことができる、インスタント袋麺に人気が集まっている可能性があるのだ。実際、テレビでもインスタント袋麺を使ってカルボナーラをつくりましょう、なんてアレンジレシピがちょいちょい紹介されている。
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