ロボット導入の背景にある人手不足とコロナ
他の私鉄でも、案内や清掃などでロボットは大活躍だ。東急電鉄では渋谷駅や横浜駅に清掃ロボットが導入された。京急電鉄では、羽田空港第3ターミナル駅にソフトバンクの「Pepper for Biz」を導入し、外国人の利用者を案内している。
実証実験だけでいえば、西武鉄道は18年に駅警備ロボットを、東武鉄道では18年に床洗浄ロボットを、それぞれ試した。
ではなぜ、ロボットなのか。ただでさえ、鉄道現場の仕事は人手不足が課題となっており、特に清掃や案内などは深刻である。これらの職種は非正規であることも多く、人件費を上げることも難しい。
駅構内は清潔であることが求められているので、新型コロナにより駅で働く人たちの感染症対策も問題になってきた。接近して案内をするのが難しい状況になっている。
そこでいま、ロボットが注目されている。東京メトロが駅構内消毒の実証実験を行ったことは、時代のニーズを追い求めた結果である。今後も課題を検証していく方針を示したことは、各種業務の自動化を進めなければいけないと考えているからだろう。
かつて鉄道の現場には、働く人たちがたくさんいた。それを機械化・電子化を進めることにより、時代の変化についていこうとした。それでもまだ不可能だった分野を、ロボットで解決しようとしている。その中でのコロナ禍。貴重な人材を感染させるわけにはいかない。
そういった背景が、東京メトロの駅構内消毒実証実験にはあるのだ。
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