「いきなり!ステーキ」一本足打法経営が、なんともビミョーに感じるワケ:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
「いきなり!ステーキ」を再建させるために、運営元のペッパーフードサービスがアレコレ手を打っている。「ペッパーランチ」を売却したり、店舗数を減らしたり、人員を減らしたり。一本足打法経営がうまくいくのかというと……。
ペッパーフードサービスの「3年後離職率」
では、ペッパーフードサービスの「3年後離職率」はどうか。まず、13年に「いきなり!ステーキ」事業がスタートする前を見てみよう。『就職四季報 中堅・中小企業版2014年版』によれば、3年後離職率は「33.3%」とある。09年4月に男子2人と女子4人を採用して3年を経た12年4月までに、その中の女子2人が退社したので定着率は66.6%というわけだ。
ちなみに、これは外食産業において、それほど悪い数値ではない。例えば、最近はすっかり「ホワイト化」に成功したと評されるワタミの3年後離職率は「40%」だ。串カツ田中が新卒の離職率を下げるため、手厚い研修を行う新人が働く店舗や専門部署をつくったように、他業種よりも給料が安く、休日に働くことも多い外食産業にとって若者の離職は頭の痛い問題だ。そんな中で「33.3%」はかなり善戦をしていると言っていい。
では、13年に銀座で「いきなり!ステーキ」の1号店がオープンしてからどうなったのか。ほとんどの年は「不明、未定、非公表」となっているが、『就職四季報 優良・中堅企業版2020年版』に意外な数値が出ている。なんと、3年後離職率は100%――。15年4月に入社した男子1人と女子2人は、18年4月まで1人も残らず退社しているのだ。
「たまたまこの年は根気のない若者ばっかの”不作の年”だったんじゃないの?」と思う人もいらっしゃるかもしれない。確かに3人と数が少ないのでなんとも言えないが、彼らが在職していたタインミングを考えると、これはかなり不可解な現象だ。というのも、15年から18年というのは「いきなり!ステーキ」が倍々ゲームのように店舗数を増やし、メディアからも「快進撃」なんて持ち上げられていた時期だからだ。
そんな右肩あがりの成長企業なら、社内のムードもイケイケドンドンで活気に満ちている。新卒だって働き甲斐はあったはずだ。ならば、1人くらいは定着していてもいいはずだが、全員が会社を去っている。「不作」という言葉で片づけられない、根深い問題があるように思えてならないのだ。
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