「超満員」がなくなった時代に、横浜DeNAベイスターズ初代球団社長が考えるスポーツビジネスの“ニューノーマル”:池田純のBizスポーツ(1/4 ページ)
コロナでなくなった「超満員」のスタジアム。これまでスタジアムを満員にすることで経営を成り立たせてきた向きもあるスポーツビジネスは、今後どうすればよいのか。さいたまブロンコスオーナー/横浜DeNAベイスターズ初代球団社長の池田純氏が語る。
連載:池田純のBizスポーツ
プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で、バスケットボール男子B3リーグ・さいたまブロンコスのオーナー兼取締役、一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長を務める池田純氏が、スポーツビジネスの最前線に迫る連載「Bizスポーツ」。第5回では「“ニューノーマル”なスポーツの会社の姿」をテーマに、これからのスポーツビジネスの在り方を提案する。
緊急事態宣言が解除されてから1カ月あまりが過ぎ、プロ野球やJリーグでは試合も再開されました。街の様子を見ていても、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前の“ノーマル”な形に一般の生活も戻りたがっているように思えます。ただ、果たしてこのまま旧来の“ノーマル”に戻ろうとするだけでいいのか、経営者としての私には大きな疑問が浮かんでいます。
これから、また第2波、第3波がいつ来るかも分からない。再びパンデミックが起こるリスクは残る。そもそも、今回のことで突然ウイルスなどが発生し、旧来の生活様式が通用しない事態が起こり得ることなどを誰もが認識したはずです。初めてのことであり、誰もが想定外だったコロナ禍に対応する生き方を今回、用意していなかったのは仕方ない。ただ、同じことが起こったときに、また同じミスを繰り返すのは愚かなことです。
私は今回のコロナ禍で、ビジネスの面では“良いもの”も得られたと考えています。緊急事態宣言が解除されたからといって、100%元に戻ろうとしなくても良いのではないか、一斉に「会社に来い」といっている経営者は何を考えているのか、と思うようになりました。
せっかく、緊急時にも対応できる形を模索したのに、緊急事態宣言が解除され、全てをゼロにしてはもったいない。「ニューノーマル(新常態)」となる生活様式と収入様式、仕事様式、経営様式を確立して、戻らずに進むことが、今回のコロナ禍を機に求められているのだと考えています。これからは、何が起こるか分からない世の中。元に戻ろうとするだけでは、今回の経験で何も学んでいないのと同じです。
それは、スポーツビジネスの在り方にもいえることです。プロ野球でいえば、球場を満員にするのが平常時なら、最低限の観客数で経営が成り立つ緊急時の“保険”もつくっておくのがこれからの経営者があるべき姿だといえるでしょう。
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