「感染リスクが高い」と指摘されても「バイキング」を続々再開 その執念と感染予防策に迫る:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
コロナ禍で自粛していた「バイキング」が続々と再開されている。一方で「感染リスクが高い」という声もある。各社は悩みながらも徹底した対策をしている。
3月1日に厚生労働省が発表した「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」という文書で、クラスターが発生した場所として名指しされたのが、ビュッフェスタイルの会食である。
文書には、スポーツジム、屋形船、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどと共に感染例があったと記された。安倍晋三首相も会見で「当面控えていただくと共に、事業者の方々には感染防止のための十分な措置を求めたい」と要請した。
この発表を受け、焼き肉・寿司などのバイキングで人気の「すたみな太郎」チェーンが、3月5日から自粛休業に入った。同月17日までに順次再開したが、全国137店のうち12店がそのまま閉店するほどのダメージを受けた。
バイキング形式のレストランは、大皿に盛られたさまざまな料理を好きなだけ食べられる「食べ放題」となっており、顧客にしてみればコストパフォーマンスが高い。ステーキハウスの多くは、バイキング形式のサラダバーがもう1つの売りになっている。また、無料の朝食バイキングを名物にして、集客を図るビジネスホテルも増えている。
5月25日に緊急事態宣言が解除されてから、自粛によって休業・時短営業していたバイキングは順次再開している。しかし、新型コロナと共存する「新しい生活様式」にいかに対応していくか、苦慮している。
“名指し”されてもバイキングを続ける理由
それでもバイキングを止めない理由は何か。「サラダバーを再開してほしいと、お客さまからの要望があったから」(「ビッグボーイ」を展開する、ゼンショーホールディングス広報)、「お店の売りがサラダバーだから」(「シズラー」を展開する、ロイヤルホールディングス広報)、「お好きなものを、お好きなだけ選べるのがバイキングの醍醐味(だいごみ)」(「しゃぶ葉」を展開する、すかいらーくグループ広報)といったように、顧客から続けてほしいとリクエストが強いことや、バイキングを否定したらお店の存在意義がなくなるといった意見が挙がった。
一方で、「どういうやり方をすれば、本当に納得していただけるものか」(東横イン広報)といったように、手を尽くしても何が正解なのか、確証が得にくいといった本音も聞かれた。
バイキングに抵抗のある人のほうが、バイキングを望む人よりもまだまだ多数派と見られるが、どうすれば安全・安心をアピールできるのか。
これから紹介する外食・ホテルの各社は、従業員の体調管理をしっかり行い、発熱した人を休ませ、うがい・手洗いを徹底し、店内の多くの人が触れる場所の消毒をしっかり行うといった対策を打っている。さらに、金銭の授受の際はトレイを使う店が大半だ。「バイキングは感染リスクの高い業態」というイメージを払拭(ふっしょく)しようと、知恵を絞っている。
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