テレワーク不可でもクラスターは防ぎたい――小さな工夫で感染リスクを減らす「非接触型オフィス」とは:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/4 ページ)
テレワーク導入やオフィス改装は業務やコストの制約があってできない、でも感染対策は必要――。そんな企業に対して、小さな工夫でできる「非接触型オフィス」を提案するデザイン会社がある。感染リスクを減らすポイントと、これからのオフィスづくりの考え方を聞いた。
脱島型オフィスは、オフィスで一般的な「島型」のデスク配置を取り払い、“密”を回避するレイアウトに作り変える提案だ。アフターコロナのオフィスデザインとして、NHKをはじめ、多くのメディアに取り上げられた。
しかし、新しいオフィス像として「脱島型」を提案する一方で、「今、フルリノベーションをして脱島型に変えることができる企業は少ない。多くの場合、コストや面積などの制約がある」(丸山社長)ことが気掛かりだった。実際、脱島型オフィスを導入する動きはまだ少ないという。
「脱島型はこれからのオフィスづくりの考え方の一つになるが、現状のオフィスからいきなり変えるのは難しい。『島型レイアウトは変えられない』という企業でも、ちょっとした工夫の積み重ねで感染リスクを減らす提案ができないかと考えた」と丸山社長は話す。それが、「非接触型」の提案につながったという。
感染リスクを物理的に低減するポイント
では、非接触型オフィスを作るために、具体的にどのようなアイデアがあるのか。まずは島型のデスク配置でも飛沫感染のリスクを減らす「ロールスクリーン」だ。
ROOM810が提案するロールスクリーンは、天井にレールを設置し、そこから透明なシートを吊り下げる仕組み。人数や利用状況に応じてシートを上げ下げできるため、デスク上で作業の邪魔になることもない。
また、天井とレールの間にはあえて空間を作り、空気が循環するようにしている。レールに二酸化炭素の濃度センサーを取り付ければ、換気ができているかどうかも確認できる。「空気の流れも考えながら設計している」(丸山社長)という。
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