テレワーク不可でもクラスターは防ぎたい――小さな工夫で感染リスクを減らす「非接触型オフィス」とは:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/4 ページ)
テレワーク導入やオフィス改装は業務やコストの制約があってできない、でも感染対策は必要――。そんな企業に対して、小さな工夫でできる「非接触型オフィス」を提案するデザイン会社がある。感染リスクを減らすポイントと、これからのオフィスづくりの考え方を聞いた。
壁や仕切りのない空間に打ち合わせや休憩のスペースが作られている部屋では、可動式のパーティションを設置する対策も考えられる。ただ、空気が滞留しないように、密閉しない置き方にする必要がある。
パーティションはただ置くだけでなく、業務に役立てることもできる。パーティションや壁に会社のロゴなどを入れた壁紙を貼れば、Web会議で背景として活用できる。また、ホワイトボードと一体となっているパーティションを使えば、オンラインでもリアルでも、ミーティング中にアイデアなどをすぐに書き込んで相手に示すことができる。丸山社長は「感染リスクを下げるだけでなく、仕事の効率を高めることを意識した提案をしている」と話す。
オフィス内での人との接触や、多くの人が触れる部分を減らす対策も、細かくチェックすると、できることがたくさんあるという。
例えば、人と人との“適切な距離”を可視化するサインをデスク周りの床に施す方法がある。スーパーなどで床にある印に従って列に並ぶことが増えたが、オフィスの場合も、カーペットの色を1メートルごとに変えるなど、手を加えれば人との距離を可視化できる。絶対に範囲内に入ってはいけない、ということではなく、「ソーシャルディスタンスをなんとなく意識させる」(丸山社長)ことを狙う。また、カーペットや壁の色に変化をつけることは、デザインのアクセントにもなる。
最も多くの人の手が触れる入り口のドアハンドルは、抗菌作用がある銅や、その合金である真鍮(しんちゅう)製にすれば、菌が付着しても比較的短時間で死滅するとされる。真鍮は独特の風合いがあるため、デザイン性も高い。
ドアハンドルを取り換えることができなくても、腕で開閉できるアームハンドルを既存のハンドルに取り付けたり、足で開閉できるフットハンドルを取り付けたりする方法もある。
また、トイレや洗面所では、便器のふたや照明のスイッチ、水栓のハンドルなど、手で触らなくてはならない箇所が多い。人感センサーにできれば問題ないが、そうでない場合も、水栓だけは肘で操作できるレバー式ハンドルを取り入れるなどの対策が考えられる。
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