伝説的ギターの台帳に懸賞金 ギブソンが狙う「ブランド復興」:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
楽器メーカーの米ギブソンが、伝説的なエレキギター「1959年製レスポール」の販売台帳を見つけた人に懸賞金を支払うと呼びかけている。偽物が出回り、高額で取引されているからだ。一度は破産した同社が、歴史あるブランドを守り、復興させようとする一手だ。
「偽物」をめぐって裁判も
ちなみに、ギターはコレクターの間で高い金額で取引される楽器である。例えば、これまで世界で最も高い値段で落札されたギターは、フェンダー製のストラトキャスターだ。実はこのギターは、2004年のスマトラ島沖地震で起きた津波の被害者支援のためにオークションされたもので、20人近い有名ギタリストらのサインが書かれており、270万ドルの値が付いている。ブライアン・メイ、スティング、ジミー・ページ、ミック・ジャガー、ロン・ウッド、キース・リチャーズ、ポール・マッカートニー、ジェフ・ベック、リッチー・ブラックモア、ブライアン・アダムスなどのサインが並んでいる。
2番目に高値で売られたのは、ジミ・ヘンドリックスのフェンダー製の白いストラトキャスターだ。200万ドルで売られた。あとは、クラプトンが使用したギターが高く売られており、ギターそのものの価値に加えて、誰が使用していたのか、誰が保有していたのかというのも、値段を決める重要な要素となっている。
とにかく、1959年レスポールは高値が動くことから、偽物も出回り、確認されているだけで200近くが収集家らの間で出回っているという。つまり多くがだまされてつかまされている可能性がある。
しかも偽物をめぐって裁判にまでなっている。ギブソン社のギターの収集家として知られるメルビン・フランクス氏は、いくつもの59年製レスポールを所有している。有名ギタリストが所有していたものなども含まれており、ゲイリー・ムーアが持っていた59年レスポールもあるという。総額で1700万ドル相当のギターコレクションを所有しているというフランクス氏は、偽物を売られたとしてビンテージギターの販売業者を訴えている。
ギブソン社いわく、販売台帳が戻れば、偽物を選別しやすくなるという。同社は、もし台帳を見つけたら、文書による説明と、写真または動画、そして連絡先を電子メールで送るよう求めている。
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