伝説的ギターの台帳に懸賞金 ギブソンが狙う「ブランド復興」:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
楽器メーカーの米ギブソンが、伝説的なエレキギター「1959年製レスポール」の販売台帳を見つけた人に懸賞金を支払うと呼びかけている。偽物が出回り、高額で取引されているからだ。一度は破産した同社が、歴史あるブランドを守り、復興させようとする一手だ。
50万ドル以上の価値になった、59年製レスポール
まず今回の「呼びかけ」だが、そもそもなぜ販売台帳は行方不明になったのか。その理由は同社の軌跡にある。
1894年にオービル・ギブソンによってミシガン州カラマズーで設立された同社は、もともとマンドリンを作る会社だった。その後、エレキの楽器を製造するようになり、ギターで有名になっていく。初めてレスポールが発売されたのは1952年だった。ただ当初はあまりの重さと古臭いイメージでイマイチ人気も出なかったため、軽いギターの製造にシフトして行った。そして生まれたのが、59年のレスポールだった。
同社にとって最初の大きな転機の一つは、64年にローリング・ストーンズのギタリストであるキース・リチャーズがレスポールを使い始めたことだったといえる。スターギタリストが使用したことで、認知度も人気も高まった。そして翌年には、エリック・クラプトンもレスポールをプレーするようになり、その後は、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシア、スティーブ・ルカサー、ジェフ・ベック、ジミー・ページなど人気ギタリストらが愛用するようになった。この頃は、ギブソン社の黄金期と呼ばれている。
そんな中で、59年の販売台帳は行方不明になった。同社によれば、おそらく本社がミシガン州カラマズーからテネシー州のナッシュビルに移転した84年ごろに販売台帳がどこかへ行方不明になってしまったという。
現在、59年のレスポールは、50万ドル(約5400万円)以上で取引されることもある。もともと、当時の価格で450ドルで販売された同モデルは、現在の価格にすると4000ドルほどの値段だった。それが50万ドルを超えるほどの価値になっている。
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