古典的な手口で「30億円」! なぜコロワイドの会長はコロッと騙されたのか:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
また、企業の経営者が詐欺にだまされてしまった――。外食チェーンを展開するコロワイドの蔵人金男会長である。詐欺の手口は「古典的」なものなのに、なぜだまされてしまったのか。その背景に迫ってみたところ……。
旧態依然とした「日本の経営者」
振り込み詐欺グループが摘発されても次から次へと出てくるように、コロワイド会長をだました詐欺師たちが逮捕されたところで、「M資金」や「基幹産業育成資金」は決してなくらないだろう。
昭和の古典的詐欺が令和日本でも通用することは、裏を返せば、カモである日本の経営者の精神構造が、昭和の時代からほとんど変わっていないことでもある。実際、PwCグローバルネットワークのStrategy&が世界の上場企業2500社を対象に調査したところ、日本の新任CEOの平均年齢は世界平均53歳よりも7歳高く、他企業からの招へい、別企業でのCEO経験、外国人、女性、MBA保有率などあらゆる項目で最低だったという。
世界では若い人たちが続々と経営に参画している中で、いまだに日本は「おじさんピラミッド」を年功序列で上りきった人たちが、「ご褒美」のような形で経営層に名を連ねている。
そのような昭和のキャリアパスなので当然、そこで生じる悩みや孤独も昭和である。だからこそ、昭和の詐欺に引っかかるのではないのか。
いまだに「M資金」のような古典的詐欺にダマされる経営者が存在することは、実はこの国の経営者が世界的に見るとかなりヤバいレベルにあることを意味するのかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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