コロナ機に大手でも採用の「社外プロ人材」 人事領域での活用ポイントは?:ポイントは「副業」ではなく「複業」(5/5 ページ)
コロナを機に増えていきそうな、「社外人材の活用」。導入すべき企業や、人事領域で活用するポイントとは? 「人事の複業」として複数社で活躍する「マイクロ人事部長」の高橋実氏が解説する。
(3)ICTの活用が、人事のプロ人材をさらに生かす
人事のプロ人材のナレッジを最大限に生かすためには、ICTの活用が大きな効果をもたらします。例えば、オフィスワークとリモートワークの両方を活用してコミュニケーションを行った方が、圧倒的に業務スピードが上がります。メールやSNS、チャットなどのコミュニケーションツールや、スケジュール管理システム、クラウド環境での人事管理システムなど、情報共有や人事業務ができるツールを決めておいた方がいいでしょう。人事のプロ人材は、セルフマネジメント能力が高いので、ICTを活用すれば、アウトプットの質と業務スピードを格段に上げることができるはずです。
始まったばかりだが、活用しない手はない
人事のプロ人材の活用は、まだ始まったばかりです。組織の核になる人事業務の外部人材の活用に抵抗感のある企業も多いと思います。複数の会社を掛け持っている人で大丈夫なのか、と心配する方もいらっしゃるかもしれません。
「うちのような地方企業でこのような人事制度改革ができるとは思わなかった」
「自社では考えられなかった新しい視点と発想で人事制度設計が実現できた」
「経営者が新たなノウハウを得たことで自信を持って取り組めている」
「人事責任者として、多くのノウハウを吸収でき、自信を持って仕事に取り組めるようになった」
これらは筆者がこれまで取り組んできた企業で、実際に聞けた声です。特に、人事責任者が採用できず人事戦略が構築できていなかった企業では、反響も大きいように感じています。筆者自身も、複数の会社で人事を並行して行うことで、同時に多くのノウハウが吸収でき、また経験したノウハウをさらに他の企業に展開できるなど、大きな手応えを感じています。
これからの日本は、さらに人材活用の幅が広がっていくでしょう。人事戦略が進まない企業では、人材活用の一つの選択肢として、人事プロの活用を検討するのも手かもしれません。
著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)
組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長
株式会社モザイクワーク 取締役
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。
新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。
「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っている
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