なかなか進まぬ「障害者雇用」 在宅勤務がカギになりそうなワケ:広がる「地域格差」(1/3 ページ)
18年4月に引き上げられ、21年にもさらなる引き上げが予定されている「障害者法定雇用率」。ただ、実際は達成できている企業がなかなか増えていない。多様性を持つ社会の実現に向けて、どういった打ち手を出していけばいいのか。リクルートオフィスサポートで障害者雇用に取り組み、都市部と地方部の企業と障害のある人をマッチングする事業会社「カラフィス」を設立した三井正義氏は、新型コロナの影響で浸透する「在宅勤務」がカギになると予想している。
2020年度末に2.3%へと引き上げが予定されている企業の「障害者法定雇用率」。18年4月に2.2%へ引き上げられてから、3年でさらなる引き上げとなる形だ。18年の引き上げ時には、精神障害のある人の雇用義務化もなされるという大きな変化もあり、企業は障害者雇用に対して新たな姿勢を求められている。
しかし実際には、なかなか雇用が進んでいないのが現状だ。厚生労働省が毎年6月1日時点での雇用状況に関して事業主らからの報告を受け、集計・発表している「障害者雇用状況の集計結果」最新版(令和元年版)を見てみると、民間企業で法定雇用率を達成している企業は48.0%。前回調査から2.1ポイント改善しているが、依然として法定雇用率を順守している企業は少ない。
なぜ、なかなか障害者雇用は進まないのか。その要因の一つとして「都市と地方の地域格差」を挙げるのが、カラフィス(横浜市)の三井正義社長だ。障害者雇用状況の集計結果を見てみると、法定雇用率を達成している企業の割合が最も低いのが東京都。32.0%にとどまっている。「企業の集中する東京都を中心とした都市圏では、障害者雇用に前向きな企業が多い一方で求職者の奪い合いになっている。逆に、地方では企業が少なく、働き先が少ない傾向にある」(三井氏)
東京都と秋田県を比較してみると、数字の違いは明確に分かる。東京都の障害者手帳所持者は、70万人近くで、秋田県の約7万人と比較すると10倍ほども多い。一方、障害者雇用義務のある企業の数は、東京が2万社ほど、秋田では750社ほどで、その差は27倍にも広がる。つまり、東京都は障害者人口が多いが、それ以上に多くの企業があり、相対的に地方と比較して採用難になりがちなのだという。
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