デバイスも自宅へ発送する徹底ぶり 「フルリモート」で入社式と新人研修を実施したサイボウズ、その裏側:2月時点で複数シナリオを想定していた(1/5 ページ)
新型コロナウイルスの影響を受け、入社式を延期したり、入社自体を後ろ倒しにした企業も少なくない。そんな中、サイボウズはフルリモートで入社式・新人研修を行った。デバイスの受け渡しだけは出社して行う企業がほとんどだが、サイボウズは新入社員の自宅へ送るほどの徹底ぶりを見せた。これまでにない取り組みで、どんな発見があったのか。
4月1日、例年通り、新入社員が入社し、働き始めた。一方で、新型コロナウイルスの影響から、大勢が集まる入社式を中止したり、入社時期を延期したりする企業も続出した。また、IT企業を中心に、リモートで入社式を実施する企業もあった。
2010年からテレワークに取り組んできたサイボウズは、「当たり前」のように入社式をオンラインで開催した。続く新人研修もフルリモートで実施している。今回は、リモート開催の判断に至る経緯やその効果について、サイボウズ人事本部チームワーク支援部 育成・チーム支援チームの小野加寿也氏と高木一史氏にお話を伺った。
オフピーク出社とテレワークの準備を同時に行う
サイボウズは、取材した5月12日の時点で、全社テレワークで仕事をしている。日替わりで誰かが出社することもあるが、原則は在宅勤務になっているそうだ。
人事の高木氏は1月から入社式や新人研修の企画を行ってきたが、新型コロナウイルスの対策を考え始めたのは、2月中旬のことだった。新型コロナウイルスの影響がどのように推移するのかを予測し、複数パターンの対応を考えたという。
例えば、3月末までに収束した場合は、そのまま通常の入社式を開催する。影響が少し伸びそうなら、オフピーク出社を導入する。また、もともとは毎日午前9時〜午後6時で新人研修のカリキュラムを組んでいたが、安全な時間に動けるように午前10時半〜午後5時に短縮することも考えた。
「当初から状況がどんどん変わり、2月26日の段階で、新型コロナウイルスの影響が長引きそうだと判断しました。そこで、オフピーク出社を基本としたカリキュラムに切り替えると同時に、全コンテンツをオンラインで受けられるようにすることを決めました」(高木氏)
新人研修は人事だけで行うわけではなく、さまざまな部署も関わってくる。コンテンツは部署ごとに作成するので、早めにお願いする必要があった。そこで、ビデオ会議サービスの「Zoom」を利用し、全部オンラインでできるカリキュラムを設計するように要請した。
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