オフィス出社は5人だけ! リモート主体で社員700人を支える総務業務のコツとは?:リモートワークは「悪者」じゃない(4/5 ページ)
ほとんどの社員がフルリモートのキャスター。オフィス出社しているのは5人だけだというその他、700人の社員がフルリモート勤務の同社だが、総務業務などはどのようにこなしているのだろうか。リモートワークのコツと合わせて聞いた。
理由は2つで、まずは準備期間が全くないままリモートワークを導入してしまった点だ。
事前にオンラインツールも準備していないし、オフィスで貸与しているPCがデスクトップでノートPCがないとか、そもそも貸与するためのルールが決まっていないということでてんやわんやだった企業も多いだろう。人事労務的なところだと、雇用契約書で「この場所での勤務を命ずる」など勤務地が書かれていると、それ以外の場所で仕事をしたことが仕事と見なされなくなってしまうので変更も必要になる。
次に、休校などで子どもが家にいることが多かったことも挙げられた。子どもが家にいれば業務効率が落ちるのは避けられないが、これはコロナ禍によるものでもある。こうした特殊事情がなく、事前準備をすれば、リモートワークのメリットは感じてもらえるはずだという。
勝見氏は、マネジメント層の意識に関しても指摘する。「働く側はリモートワークにメリットを感じているけども、管理側が不安だったり、マネジメントできないという意識を持っている人が多いと思います」。リモートワークの導入を成功させるには、成果を定量化することが重要。一口に「リモートワークにして成果が落ちた!」といっても、原因を特定できていないことが多いのだ。目の前で頑張って働いているのが見えないから分からない、という前時代的な理由でリモートワークを拒否しても仕方がない。まず、成果を検証できる体制を作らなければならない。
「当社の場合、内製したシステムを使っています。具体的にはタスクをシステムに登録して、誰が何時間かけて作業し、その品質がどうだったのか、を管理しています。それ以外では、半期ごとに目標やミッションを立てて、それに対する成果を定量的に測るようにしています」(勝見氏)
コミュニケーションもリモートワークの課題……どうする?
もう一つ、よくリモートワークで課題として挙げられるのがコミュニケーションだ。この点については、量を落とさないということと、疑心暗鬼を防ぐことが重要だという。
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