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販売員はモニターの中 ビックカメラが“遠隔接客”に手応えを感じている理由:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/3 ページ)
ビックカメラが7月から一部店舗で“遠隔接客”を試験的に実施している。コロナ禍で非対面・非接触での説明を受けたいというニーズがあると考えた。一定の成果が出たことから今後も継続・拡大していく。
遠隔接客のノウハウを蓄積中
有楽町店での接客を観察していくつか気が付いたことがある。まず、販売員の動きや話し方が全体的に“オーバー”に感じられた。また、定期的に「今、午後2時ですね」「外は暑いですね」といったように、天気や時刻にあえて言及している。
この点についてベストプロジェクトの担当者は「動きがオーバーなのは、画面越しでも違和感なく接客できるようにするためです。また、時間や天気について話題にするのは、録画したものを流しているのではなく、リアルタイムで配信していることをアピールするためです」と説明する。同社では7月の試験運用中、さまざまな試行錯誤をして遠隔接客のノウハウを蓄積してきたという。
遠隔接客の取り組みは、物珍しさが先行している面もある。ただ、実際の販売に結び付いているも事実で、ビックカメラの広報担当者は「商品を説明しながらお客さまに動画を見て頂いたりすることも可能であり、接客の幅が広がっている印象です。また、スキルの高い販売員が場所に縛られることなく接客を行うこともできる」と前向きに評価している。
家電量販店では珍しい遠隔接客の取り組みは、販売員とお客にどこまで支持されるか。
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