持ち家がもはや「冗談抜きで困難な夢」になったこれだけの理由:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
いまだに根強いとされる日本人の持ち家志向。しかし筆者は「冗談抜きで困難」になったと指摘。印象論でなくデータから導き出される実態とは?
日本は実はデフレなどではない
日本ではデフレ(物価の下落)が続いていると喧伝(けんでん)されており、政府の説明を鵜呑(うの)みにしている人も多いが、アベノミクスが始まって以降、物価が下がったことなどほとんどない。消費者物価指数は一貫して上昇しており、日本はむしろインフレ(物価の上昇)が進んでいるのが実態だ。
政府がいくらデフレ、デフレと喧伝し、マスメディアが政府の意を受けて、そのまま報道したとしても、日々の買い物などを通じて、地に足のついた生活をしていれば、多くの商品価格が値上がりしていることは生活実感として理解できたはずである。厳しい言い方になるが、デフレと思い込んでいた人は、日々の生活で価格についてあまり関心を寄せていなかったのではないだろうか。
経済が成長していないのにインフレが進む理由は、海外の経済情勢の影響を受けて輸入品の価格が上がっているからである。確かに日本では経済成長が止まっているが、それは日本だけの話であり、過去20年で諸外国は経済規模を1.5倍から2倍に拡大させており、当然、物価も上昇している。
つまり日本がいくらゼロ成長でも海外が成長する限り、輸入品の価格は上がる一方なのだ。
マンション価格、コロナ危機でむしろ上昇
この話はマンション建設にもあてはまる。世界経済が拡大すれば、建設に必要な資材の奪い合いとなるので、資材価格は高騰する。資材価格が上がった分だけ、デベロッパーは販売価格を上げざるを得ないので、日本人の所得が下がっていようがマンションの価格は上がっていく。
今年に入ってコロナ危機が深刻化したことで、マンション価格が暴落するという記事をメディアで見かけるようになったが、これも「暴落して欲しい」という願望がベースになっており、事実(ファクト)ではない。外出自粛によって5月のマンション販売は壊滅的な状況だったが、6月に入って販売は急回復。首都圏での販売価格もコロナ前との比較(前年同月比)で7.1%も上昇している。
関連記事
- 「何でもスクショ」な若者と「いつでも電話」中高年の意外な共通点――日本特有の“使えない人材”とは
「何でもスクショを飛ばして済ます」若者が話題に。ただ根底の問題は「いつでも電話」してしまう中高年と一緒と筆者は指摘。日本企業の人材、ひいてはマーケティングに横たわる課題とは? - コロナ禍転職不況、中でも「特に厳しい意外な人材」とは?――独自データで分析
コロナ禍で転職市場が悪化、急速に買い手市場に。中でも求人が特に激減している「人材の層」があるという。dodaの独自データから分析。 - コロナ後もテレワーク、「オフィス消滅」企業が続々
コロナ対応で進むテレワーク化。終息後も思い切って「オフィスを無くす」企業が続々と登場。本当に職場は不要か、意外なメリットにも迫る。 - コロワイドの提案退けた大戸屋、再建になおも立ちふさがる“究極のジレンマ”
大株主コロワイドと対立する大戸屋。株主提案は否決されたが経営再建は茨の道。店内調理の是非、そしてもっと奥に潜む対立も。 - KDDI「ジョブ型移行」が暗示――“企業社会で居場所消滅するサラリーマン激増”の未来
KDDIが「ジョブ型雇用」導入を表明。筆者はこれが日本型雇用の崩壊につながると指摘。企業社会で居場所が消滅するのはどんな人か。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.