店内は客が少ないのに25年連続増収 西松屋がコロナ禍でも絶好調の理由:「アパレル」「子ども服」「小売業」は三重苦か(2/7 ページ)
コロナ禍でも業績好調の西松屋チェーン。店内は客が少ないのに、なぜ成長を続けられるのか。同社の“非常識経営”に迫る。
業界に染まっていないからできた非常識経営
西松屋は兵庫県姫路市が本社のローカル企業です。同社を率いるのは鉄鋼メーカーの研究者から2代目社長に就任した大村禎史氏(20年8月21日に代表取締役会長CEOに就任)。1985年に義父の会社をサポートするため西松屋に転職。当時の会社の規模は店舗数30店、売上高30億円程度でした。1956(昭和31)年に創業した同社は、出産準備品やお宮詣(まい)り衣装を扱う店として設立されました。おそらく当時の日本の小売業ですから、他社と同様に経営手法はアナログ的で、中小企業独特のムダも多かったことでしょう。
生産性と効率性を求める製造業を見てきた大村氏の目には、当時の小売業の現場は「売り上げ至上主義」がまかり通る「ムダの多い会社」と映ったのです。そこで、製造業で学んだノウハウを自社の経営に活用していきました。それが、「効率性を上げることによって収益性を高め、売り上げを拡大させる」という、それまでの小売業には見られなかった戦略でした。
西松屋は直近の5年間も増収を続けています。利益にはばらつきはあるものの、およそ3〜5%程度の経常利益率を維持しています。
同社は必ずしも高収益型の経営ではありませんが、売り上げを伸ばし、適切な利益を確保さえできれば、あとは消費者に還元しようと考えています。「顧客満足と効率性の追求」を第一に置いて、売り上げと利益は結果と捉えています。企業にとって大切なのは、単に規模を追うことではなく、ムダを省き、削った分で商品開発を行い、より安い価格で消費者に商品を届ける発想だと気付かされます。
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