「集まれない」に苦慮するブライダル業界 リゾート婚大手が見極める“追い風”とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(1/4 ページ)
リゾート挙式大手のワタベウェディングは、新型コロナの影響が大きい中、オンライン相談やライブ配信サービスなど需要への対応を急ぐ。一方、小規模化やオンライン化はリゾート挙式のスタイルに合う。新たな需要創出に向けて、ビジネスモデルの見直しも進める。
「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵:
「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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「たくさんの人が集まる」「海外など遠距離の移動」といった、以前まで当たり前のように行ってきた行動が新型コロナウイルスの影響で制限されている。それによって大きな影響を受けたのがブライダル業界だ。
海外リゾートウェディング事業で47年の歴史を持つワタベウェディングでは、3月以降の多くの予約が延期やキャンセルになった。国内リゾートに軸足を移したり、リゾート挙式のライブ配信サービスを導入したりと、コロナ禍における需要への対応を急いでいる。
“新しい生活様式”が求められる中で、結婚式はどう変わるのか。「リゾート婚」のこれからの顧客ニーズやビジネスモデルを模索する同社の取り組みを探った。
4〜5月のオンライン相談件数は前年の13倍
海外への渡航が難しくなったのは2月末ごろからだった。ワタベウェディングでは、リゾート挙式の年間取り扱い挙式組数のうち約20%が延期、約12%がいったんキャンセルとなった。同社では延期する場合のみ、手続きに伴うキャンセル料を無料とする対応を実施。実施時期だけでなく、エリアの変更も可能とした。
緊急事態宣言が解除された6月以降は、沖縄、京都などを対象とする国内リゾート挙式の営業は再開したものの、海外については現在も止まったままだという。
その一方、活発になっているのが、2018年に開設した「リゾ婚オンラインカウンター」の利用だ。この状況で結婚式を挙げられるのか、どのような形式ならできるのか、不安に思う人は少なくない。気軽に相談できるオンラインサービスの利用が広がり、4月の相談件数は前年同月と比べて13.3倍に膨れ上がった。5月も12.9倍、6月も8.1倍となり、多くの相談が寄せられている。
需要に対応するため、オンラインカウンターの体制も拡充。もともとはコールセンターのみで対応していたが、約40カ所の店舗でも対応できる仕組みを整えた。オンライン対応が可能なスタッフの人数は17倍に増やしている。
リゾ婚オンラインカウンターの積極的な運用は、リゾート挙式への興味を途絶えさせないようにする側面もあり、来年以降の受注や問い合わせも増えてきているという。経営企画部長の仲山怜氏は「リゾート挙式の場合、事前に会場を見てもらえないことが多く、店頭で映像や写真を見せながら説明していた。そういった接客であれば、オンラインでもサービス価値を下げずに提供できる」と話す。
他にも、リゾート挙式の強みを生かしたオンラインサービスがある。7月に開始した「ライブストリーム WEDDING」だ。
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