「集まれない」に苦慮するブライダル業界 リゾート婚大手が見極める“追い風”とは:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(2/4 ページ)
リゾート挙式大手のワタベウェディングは、新型コロナの影響が大きい中、オンライン相談やライブ配信サービスなど需要への対応を急ぐ。一方、小規模化やオンライン化はリゾート挙式のスタイルに合う。新たな需要創出に向けて、ビジネスモデルの見直しも進める。
ライブ配信でリゾート挙式の幅を広げる
「ライブストリーム WEDDING」は、リゾート挙式のライブ配信サービス。まずは沖縄の1カ所の会場限定で開始した。参列が難しい人に、挙式の様子をリアルタイムで見てもらえる。挙式の最後には、新郎新婦から配信先へのメッセージを入れることもできる。
以前から動画撮影サービスは提供しているが、映像データが届くのは式から1〜2カ月後。通常のムービー商品にライブストリームを追加してもらうことで、リアルタイム配信に対応する仕組みだ。現場スタッフや顧客の要望があったことから商品化した。
リゾート挙式の場合、もともと列席者は少なく、ハワイは8〜10人、沖縄でも15〜20人程度だという。ライブ配信であれば、リゾート挙式には参加できない親族や友人なども含めて、リアルタイムで様子を見てもらうことができる。「新型コロナによって、オンラインで何かをすることに対して障壁が低くなった。リゾート挙式の幅を広げることにもつながるのでは」と仲山氏は期待する。
実際に、同社が実施した「withコロナ時代のウェディング意識調査」によると、今後必要だと思う結婚式のサービスとして「結婚式のライブ配信」「オンライン・バーチャル結婚式」を選択した人がそれぞれ2割強。「オンラインを活用し、安心して式を挙げたい」というニーズは一定程度あるようだ。
ライブストリームは、まずは1会場から申し込み受付を始めたところだが、問い合わせは徐々に入っているという。今後は対応できる会場やエリアを増やすほか、配信先への見せ方を工夫したり、閲覧している人とのやりとりを可能にしたりするなど、サービスの拡充も検討していく。
もちろん、基本的な感染対策によって安心感を高める取り組みも行っている。同社では6月、新型コロナに配慮した100項目以上の新基準「安心への5つの約束」を設定。「試着用の衣装の消毒」「ソーシャルデイスタンスを保った挙式進行」など、内容は多岐にわたる。対策をまとめた実演ムービーも公開し、“新しいリゾート挙式”をイメージしやすいように工夫している。
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