社員に「何か手伝うことはないですか?」と言わせる会社が時代に合わなくなっていくと思える、これだけの理由:「脱・職場第一主義」時代のニューノーマルに備えよ(4/4 ページ)
若手社員にありがちな、定時後の「何かやることありますか?」という伺い立て。日本企業は個々の役割分担があいまいだからこそ、こうした「職場第一主義」的ななりふりが求められてきた。しかし、時代の変化によって、こうした職場第一主義から抜け出す必要が生じてきている。
しかしながら、もはや高度経済成長期のような常に右肩上がりの未来像は描けない状況にあることは事実です。また、グローバルな環境の中で競争に勝ち抜かなければならないことを考えても、職場第一主義で一枚岩のチームワークを強みとする考え方だけでは難しくなってきています。望むと望まざるとにかかわらず、脱・職場第一主義へと移行せざるを得ない状況になり始めているのです。移行期だからこそのほころびも、既にあちこちで見え始めています。
一枚岩ではなく「さざれ石の巌」
職場第一主義の良さも残しつつ、脱・職場第一主義へと移行させていくとしたら、チームワークの在り方は「一枚岩型」から、「さざれ石の巌(いわお)型」に変わって行くのではないかと考えます。“さざれ石の巌”とは小さな石が集まって形成された一つの大きな岩のことで、国歌でもうたわれていますね。
組織のために個性を抑圧してしまうのではなく、さざれ石のような個々の違いを生かしながら、「仕事」という共通の目的のために集まって大きな一つの岩となるようなチームワークが求められるのが、脱・職場第一主義の時代なのだと考えています。
それは「個人尊重型仕事第一主義」と言い換えても良いかもしれません。個人が尊重され、必要以上の束縛は受けないものの、仕事に対してはしっかりとコミットして、それぞれの役割を果たす中でチームワークをとっていくイメージです。
さざれ石の巌型チームでは、仮に同じ職務であっても望ましい報酬の在り方は個別に異なるかもしれません。職場が決めた報酬形態に全員が一律に当てはめられるのではなく、働き手ごとに異なる個別契約を結ぶ。そんな報酬の在り方が、脱・職場第一主義時代のニューノーマル(新常態)となっていく可能性もあるのではないでしょうか。
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