金持ち企業ランキング、3年連続2位の企業が初の1位に:手元資金を比較
リスクモンスターが「金持ち企業ランキング」を発表。前回まで3年連続2位だった任天堂が初の1位に。安定した業績でネットキャッシュを増やした。
与信管理サービスを提供するリスクモンスターは8月25日、企業のネットキャッシュを比較する「金持ち企業ランキング」を発表した。前回調査まで3年連続2位だった任天堂が、初めて1位を獲得した。
2019年4月期以降の最新決算に基づき、企業の現預金から借入金などの有利子負債を差し引いた手元資金を示すネットキャッシュを比較した。1位の任天堂は8904億円。前回より約500億円増加し、3年連続の2位からトップに浮上した。安定した業績によって手元資金を蓄積している。
2位は信越化学工業で8130億円、3位はSMCで5367億円だった。4位以降は、キーエンス(4766億円)、ファナック(4058億円)、セブン&アイ・ホールディングス(3747億円)、セコム(3601億円)と続いた。
前回と比較して順位を上げた企業として、営業キャッシュフローの増加によって現預金を蓄積してネットキャッシュを増やした、日揮ホールディングス(42位→15位)とオムロン(39位→19位)が挙げられる。また、前回の19位から6位に上がったセブン&アイ・ホールディングスは、高水準の営業キャッシュフローを維持して現預金を蓄積しつつ、総借入を減らすことでネットキャッシュを増やした。
上位20社の業種をみると、13社が製造業だった。内訳は、娯楽用品・玩具製造業(任天堂、バンダイナムコホールディングス)、はん用機械器具製造業(SMC、ホシザキ)、電子部品・デバイス・電子回路製造業(キーエンス、ローム)、電気機械器具製造業(小糸製作所、オムロン)、医薬品製造業(塩野義製薬、大正製薬ホールディングス)、その他の製造業(信越化学工業、ファナック、シマノ)。製造業に手元資金が潤沢な企業が目立った。
なお、メモリ事業の売却によって前回1位となった東芝は、今回のネットキャッシュがマイナス489億円となり、2647位と大幅にランクダウンした。
リスクモンスターは「今回のランキングは2020年3月期決算が主体であり、緊急事態宣言発令後の影響は加味されていないため、(新型コロナの)影響は限定的」としながらも、「上位20社のうち14社で前回よりもネットキャッシュが増加している。企業が景気動向も考慮しつつ、経営の安定性を高めるための戦略としてネットキャッシュの蓄積を進めていると考えられる」と分析している。
調査は7月14日時点で開示されていた決算書の分析に基づき、金融機関とIFRS適用企業を除く2923社を対象に実施。ネットキャッシュは「現預金−(短期借入金+長期借入金+社債+1年以内返済の長期借入金+1年以内償還の社債+割引手形)」の計算式で算出した。
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