インバウンドは「ゼロ」想定… 赤字相次ぐ百貨店大手、“休業2カ月”の穴は埋まるか:三越伊勢丹HDは600億円の赤字予想(1/2 ページ)
百貨店大手の第1四半期決算では、新型コロナ感染拡大に伴う店舗休業の影響が大きく、赤字の計上が相次いだ。営業再開後も消費動向を見通しづらい情勢となっている。2020年度の見通しでは、三越伊勢丹HDなどがインバウンドの売り上げをゼロと想定している。
新型コロナウイルスの感染拡大が百貨店業界に打撃を与えている。大手各社の第1四半期決算では、店舗休業の影響が大きく、赤字の計上が相次いだ。緊急事態宣言が解除され、多くの店舗で営業を再開した6月以降は徐々に回復しているが、7月中旬ごろからは再び感染者数が増加。この先の消費動向を見通しづらい情勢となっている。
4〜5月の臨時休業が響き、赤字決算に
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は7月29日、2020年4〜6月期の連結決算を発表。売上高は前年同期比53.3%減の1316億円。4〜5月に多くの店舗で臨時休業や営業縮小を行ったことから、前年の半分程度にとどまった。
同社では、三越日本橋本店や伊勢丹新宿本店など、首都圏の6店舗を長期間にわたって休業。4月上旬から店を閉め、約2カ月後の5月30日に営業を再開した。売り上げが見込める都市部の主要店舗で、食品フロアも含めて全館で休業していたことが業績に大きな影響を与えた。
また、休業中に発生した固定費として、売上原価7億円、人件費などの販売管理費115億円を特別損失に計上。純損益は305億円の赤字となった。
2月期決算の高島屋とJ.フロント リテイリングも、第1四半期(3〜5月期)は赤字を計上している。高島屋は売上高に当たる営業収益が前年同期比48.0%減の1162億円。百貨店などグループの商業施設を休業した影響で大幅に落ち込んだ。店舗休業関連損失として86億円の特別損失を計上し、純損益は205億円の赤字だった。
大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロント リテイリングの3〜5月期も、総額売上高が58.6%減の1134億円、売上収益は43.6%減の634億円だった。大丸松坂屋百貨店やパルコの店舗で休業期間が長引いたことが響いた。純損益は203億円の赤字に転落している。
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