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グルメサイトは飲食店の味方なのか?「Go To Eat」でも悩み(1/3 ページ)

新型コロナウイルスにより客足を奪われて苦境に陥っている飲食業界。実は以前からグルメサイトという存在に悩まされ続けており、今回の「Go To Eat」キャンペーンでも悩みは続きそうだ。

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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。


 少し前にコロナ禍で大変な目に遭っている飲食店を悩ませることの一つとして「無断キャンセル」の問題をコラム記事でとり上げた(参照記事)。それと変わらないくらい飲食店が悩むのが、グルメサイト(飲食店予約サイト)へのさまざまな手数料だ。利益率の低い飲食業界にとって、元々かなりの負担だったのだが、来店客の激減に悲鳴を上げる中で本当に取引を続ける価値があるのかという疑問が限りなく大きくなっているのだ。

 「3大グルメサイト」と呼ばれる食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ。その手数料は、(1)月額固定のサイト『掲載料』(いくつかのプランに分かれている)と、(2)ネット予約した来店客1人当たりの『送客手数料』で構成される。

 食べログの場合を例にしよう。『掲載料』は1万円から10万円とかなり幅がある。『送客手数料』は一人当たりランチで100円、ディナーで200円。例えば月額2.5万円の掲載プランで契約した飲食店に、ひと月で昼に40人、夜に50人がネット予約で来店した場合、合計3万9000円の手数料が発生する(いずれも税抜き)。

 仮にランチが平均単価1000円、ディナーが5000円とすると、該当する売り上げは29万円。材料費・人件費・家賃・光熱費など引いて残った利益を考えると、その手数料の価値は本当に見合うものか、かなり微妙である。それでも競合店の多く、そして大半の消費者がグルメサイトを利用する限り、飲食店としては我が身を削ってグルメサイトに高い手数料を支払うしかないというのがコロナ禍以前の状況だったのだ。

 実は今年3月、公正取引委員会がある調査報告書を発表しており、その中でグルメサイトと飲食店の間の取引実態がかなり不透明なことや、独占禁止法違反となる恐れがある事例も少なくないことを指摘している。

 多くのグルメサイトでは、高額な掲載料を支払っているほど、その飲食店は検索上位に表示される。同じ料金プランの場合は、ネット予約の空席数や閲覧者数、ポイント・プログラムへの参加の有無などで表示順は決まるとされる。こうした実態は、サイトを利用する消費者には公開されていない。だから消費者としては検索上位に表示されている店ほどお奨めだと判断しがちになる。

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