グルメサイトは飲食店の味方なのか?:「Go To Eat」でも悩み(2/3 ページ)
新型コロナウイルスにより客足を奪われて苦境に陥っている飲食業界。実は以前からグルメサイトという存在に悩まされ続けており、今回の「Go To Eat」キャンペーンでも悩みは続きそうだ。
店とするとグルメサイトから「集客のために表示順位を上げなければならない」と言われると、高額プランを契約せざるを得ない。それゆえ公取委は「優越的地位の乱用となる恐れがある」と指摘している。
しかし利用する消費者が表示順位以上に重要しているのが口コミによる評価点である。つまり、店を利用した消費者が料理や店のサービスなどを評価して付ける点数だ。この公正性が疑わしいのだ。
グルメサイト側は「飲食店が支払う手数料の有無は点数には影響しない」と主張しているが、建前に過ぎないと感じる向きは多い。「有料加盟店をやめたら大きく点数が下がり、再び有料に戻したら点数が戻った」などという不快な経験をした飲食店の例が、同報告書にも記載されている。それはメディアの記事にも少なからずあるし、小生も店の人から聞いたことがある。
いち消費者としてグルメサイトを利用する立場で見ても、総合点と個々の評価点が釣り合っていないケースは少なくない。
グルメサイト側は「やらせレビューに攪乱(かくらん)されないよう、単純な平均点にはしていない」「信頼すべきレビュワーによる評価を重んじている」「不正を排除するため算出アルゴリズムの詳細は開示できない」と主張するが、それにしても先の「有料加盟店をやめたら大きく点数が下がり……」という事態が時々起きていることを考えると、あまり説得力はない。
こうした背景の上で、飲食業界にはもう一つ大きな変化が生じていた。それはSNSの普及で、知人や有名人のお薦めに応じて店を知ったり興味を持ったりする若い人が増えたことだ。
彼らはInstagramやTwitterで知った店をGoogleなどで検索して、グルメサイト抜きで予約するようになっている。この場合、店とすると広告費も送客手数料も払う必要がないので、とても有難い。
だから飲食店とすると、「映(バ)えるよねー」とか言いながら出てきた料理をスマホでカシャカシャと撮っている若い人たちは、(いくら年配の人たちが「マナーがなってないわねぇ」と眉をひそめようとも)お店の宣伝を無料でしてくれている「有難いお客様」なのだ。
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