グルメサイトは飲食店の味方なのか?:「Go To Eat」でも悩み(3/3 ページ)
新型コロナウイルスにより客足を奪われて苦境に陥っている飲食業界。実は以前からグルメサイトという存在に悩まされ続けており、今回の「Go To Eat」キャンペーンでも悩みは続きそうだ。
こういった新しい潮流もあり、そして馬鹿にならない料金なのにグルメサイトがコロナ禍で苦しむ飲食店の助けになっていない現実もあり、冒頭で言ったようにグルメサイトへの減額要請や解約申し込みが相次いでいるのだ。
当然ながら、それに抵抗する動きも出ている。飲食店の苦境を救うための官民一体型の需要喚起キャンペーン「Go To Eat」が9月から立ち上がることが発表されたが、その策の一つ「オンライン飲食予約(によるポイント付与)」はグルメサイトの利用が条件になっている。
これは、グルメサイト経由でキャンペーン参加の飲食店を予約し来店した消費者に対し、飲食店で使えるポイントを付与するものだ。
ランチだと500円分/人、ディナーだと1000円分/人のポイントが予約した人数に応じて予約者に付与される(最大で10人分の1万ポイントが上限)。付与されたポイントは後日、キャンペーンに参加している飲食店を利用する際に使える。ポイント付与の期限は2021年1月末まで(使用期限は2021年3月末まで)とされているものの、消費者にとってはなかなか魅力的だ。
この「オンライン飲食予約」キャンペーンに飲食店が参加するには、3つの条件が必須だ。一つは、感染予防対策をしないといけないこと(これはある意味、当然だ)。もう一つは、事前登録しないといけないこと(これも当然だ)。最後の一つが問題で、対象となる「オンライン飲食予約事業者」(グルメサイトのこと)と契約していないといけないことだ。
今までグルメサイトと契約していない店や、コロナ騒ぎを契機に契約解除した店は改めてどこかのグルメサイトと契約する(したがって広告掲載や送客手数料を払う)必要があるのだ。このキャンペーンが「飲食店の救済ではなく、グルメサイトの救済が本当の目的だ」と揶揄(やゆ)される所以だ。
ちなみにもう一つの「(プレミアム付)食事券」キャンペーン(購入額の25%分を上乗せする)のほうは、オンライン予約は不要なので、参加するにあたってグルメサイトとの契約は必要ない。いずれにせよ、新型コロナウイルスによる苦境をなんとか凌ごうと頑張っている飲食店にとって、希望の綱に見えた「Go To Eat」キャンペーンは新たな悩みをもたらしそうだ。 (日沖 博道)
関連記事
- 店内は客が少ないのに25年連続増収 西松屋がコロナ禍でも絶好調の理由
コロナ禍でも業績好調の西松屋チェーン。店内は客が少ないのに、なぜ成長を続けられるのか。同社の“非常識経営”に迫る。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - 見通しが甘かった大戸屋、買収どころではないコロワイド 「大戸屋紛争2.0」を読み解く
コロワイドが大戸屋に“超攻撃的買収”を仕掛けている。敵対的な買収はそもそも成功するのか。買収された後、大戸屋にはどんな運命が待ち受けているのか。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.