カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか:水曜インタビュー劇場(欧風公演)(6/6 ページ)
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。
レストラン区画で苦戦
土肥: 100時間カレーの出店を見ていると、立地のうまさを感じました。イートインは住宅街や駅から少し離れたところが多いですが、ポスティングや口コミなどの影響で、集客に成功している。新型コロナの影響を受ける前は、フードコートでも売り上げを伸ばしていた。また、デリバリーでも強さを発揮している。その一方で、うまくいかなかったケースもあったのではないでしょうか?
素谷: 商業施設内のレストラン区画に出店したことがありまして、ここはうまくいきませんでした。40坪ほどのスペースで、従来の店と同じスタイルでやってみたんですよね。しかし、ダメ。なぜか。フードコートの場合、「ワタシはカレー」「オレはうどん」といった形で、それぞれが好きな商品を選ぶことができますよね。しかし、レストランという形で店を構えると、店内に入ったお客さんはカレーを食べなければいけません。
「カレーは好きだけれど、ちょっと違うモノも食べたいなあ」と思っても、メニューが少ないんですよね。トッピングは用意していますが、それで満足することは難しい。例えば、ラーメン店はどうか。ラーメンのほかにも、ギョーザもあれば、チャーハンもあれば、から揚げもある。中華のメニューを用意できるので、多様なニーズを満たすことができる。一方のカレー店はどうか。当社の場合、カレーしかない。ということもあって、「どの店にしようかな」と迷ったときに、選択肢の中になかなか入らなかったのかもしれません。
土肥: では、レストラン区画での出店は諦める?
素谷: いえいえ。夜に行っても満足できるように、付加価値を高めていかなければいけません。ズバリ、メニューの充実ですね。
土肥: 今後の出店立地は、どのようなところを考えていますか?
素谷: 駅前の一等地に出店することを考えています。新宿といった人の流れが多いところだけでなく、カレー店が多い秋葉原など、激戦区でも挑戦していきたいですね。
(終わり)
書籍&CDが出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの連載をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)が発売されました。本連載「水曜インタビュー劇場」の人気記事をピックアップして、大幅に加筆。また弊誌では掲載していない記事もご紹介しています。また、本連載をまとめた『ササる戦略』(三才ブックス)も発売していますので、合わせてどうぞ。
さらに、水曜インタビュー劇場のMCを務める土肥義則のCDが発売されました。「全国経営者セミナー」での講演を収録していますので、ぜひビジネスのヒントに!
関連記事
- 松戸市にあるパン屋で、なぜお客は1800円も使うのか
「パン好きの聖地」と呼ばれている店が、千葉県の松戸市にあるのをご存じだろうか。「Zopf(ツオップ)」である。1個のパンを求めて、朝から行列ができているわけだが、なぜ人はここの商品を食べたいと思うのか。シェフに話を聞いたところ……。 - 3年で売上2倍に! ミズノのワークビジネスが、伸びている理由
ミズノの「ワークビジネス」が伸びている。売り上げを見ると、直近3年間で2倍の規模に。ミズノと言えば「スポーツメーカー」のイメージが強いのに、なぜこの分野にチカラを入れているのか。担当者に話を聞いた。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.