「時短営業の交渉を拒絶」「無断で発注された」「インフルエンザでも休めない」 コンビニ加盟店と本部のトラブル、公取委の調査で浮き彫りに:独禁法違反の恐れも指摘(1/2 ページ)
公取委が、全国1万2093店舗のコンビニ加盟店へのアンケート結果を公開。「時短営業の交渉に応じてもらえていない」「本部指導員に無断で発注された経験がある」といった現状が浮き彫りに。
「時短営業の交渉に応じてもらえていない」「本部指導員に無断で発注された経験がある」──公正取引委員会が9月2日、全国1万2093店舗のコンビニ加盟店に対して実施したアンケートの結果から、そんな現状が浮き彫りになった。調査結果を受け、公取委は24時間営業の強制などが独占禁止法上の問題になり得ると指摘。大手8チェーンの本部に点検や改善を促し、結果を報告するよう求めた。
時短営業を望んでも、8.7%が「交渉に応じてもらえない」
調査によると、24時間営業を行っている店舗の33.2%が「引き続き24時間営業を続けたい」と回答。残りは「続けたいが、人手不足などにより一時的に時短営業に切り替えたい」(18.8%)、「時短営業にした方が経営上有利なのかどうか分からないので一度実験してみたい」(32.2%)、「時短営業に完全に切り替えたい」(15.8%)という結果だった。
時短営業に切り替えたい理由は「採算が取れない時間帯に営業したくないから」が36.3%で最多。「これから先もアルバイトなどが集まるとは思えないから」(23.8%)、「休みが取れずオーナー自身の疲労が限界に来ているから」(21.1%)など人手不足に関する回答も多かった。
時短営業への切り替えを望む加盟店の43.8%が「意向を本部に伝えている」と答えたが、このうち24.8%は「(本部は)どちらかといえば交渉に応じていない」、8.7%は「交渉に応じていない(拒絶している)」と回答。
こうした現状に対し、公取委は、本部が時短営業の協議を一方的に拒否し、24時間営業を強制することは独占禁止法違反(優越的地位の濫用)にあたる恐れがあるという考えを示している。
また、コンビニエンスストア本部によっては、オーナーなどの慶弔時、体調不良時を想定し、業務代行や人員派遣サービスを提供している場合があるが、「不十分だと思う」(48.1%)と「どちらかといえば不十分だと思う」(12.7%)を合わせると、6割を超えた。
加盟店からは「2週間(20日、1カ月など)以上前に申請が必要、慶弔時のみで1日だけ、2親等までといわれたが、家族の死期など分かるわけがなくいい加減にしてほしい」「親が亡くなったとき、要請したがヘルプ社員がいないと断られた」「突然の病気(インフルエンザ、ケガなどには使えない」などの声もあった。
恵方巻など「取り扱いたくないのに仕入れた」が半数
直近3年間(2019年12月末まで)で、本部から強く推奨されるため、本当は取り扱いたくないのに仕入れた商品が「ある」と答えた加盟店は51.1%と、半数を超えた。具体的には、クリスマスケーキ、うなぎ、おせち、恵方巻などの季節・予約商品の他、プライベートブランド商品、本部がメーカーに作らせた限定商品(菓子・ビールなど)を取り扱った経験があるという。
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