「時短営業の交渉を拒絶」「無断で発注された」「インフルエンザでも休めない」 コンビニ加盟店と本部のトラブル、公取委の調査で浮き彫りに:独禁法違反の恐れも指摘(2/2 ページ)
公取委が、全国1万2093店舗のコンビニ加盟店へのアンケート結果を公開。「時短営業の交渉に応じてもらえていない」「本部指導員に無断で発注された経験がある」といった現状が浮き彫りに。
47.5%の加盟店が、本部から必要以上に仕入れを求められ、応じざるを得なくなった経験が「ある」とも回答。理由は「本部の指導員から『自分もポケットマネーで購入するので店舗も協力して欲しい』などといわれ、本部と店舗に挟まれた指導員をかわいそうと思ったから」(47.4%)が最も多く、「他の加盟店の仕入実績などを示されながらもっと仕入れるよう言われるから」(43.8%)が続いた。「指導に従わないと不利に取り扱う可能性を示唆されたから」(20.6%)という回答もあった。
本部の指導員が「知らないうちに店舗の仕入発注を行っていた経験がある」という加盟店は44.6%を占めた。内訳は「恒常的にではないが経験はある」が21.5%、「本発注ではないが、不要なものを仮発注状態にされたことがある」が18.9%、「恒常的にある」が4.2%だった。これらの加盟店のうち、本部に抗議したのは26.7%にとどまった。
この他、公取委の報告書によると、41.1%の加盟店が「加盟前に受けた予想売り上げ、予想収益の額よりも実際の状況が悪かった」と回答。ドミナント出店については、67.2%が「近隣の店舗数が多いと感じる」と答え、「500メートル以内に出店しないと口頭で説明されたが、300メートルの場所に出店された」という不満の声も出た。
こうした調査結果を踏まえ、公取委は、加盟店が一度加盟すれば、本部の指導などを受けるシステムに長期的に組み込まれ、容易に離脱できないという側面もある──と指摘。健全に運営していくためには、加盟希望者が正しく判断できるように十分な情報開示が必要で、加盟後も一方的に不利益を被らないようにすべきだと主張している。
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