転職調査、6割が「コロナ禍で転職意向が高まった」 目立ったのは自社への「不満」:どんな不満?
9月4日、日経HRが転職に関する調査結果を発表した。約6割が、コロナ禍で転職意向が高まったと回答し、理由には「自社への不満」が目立った。どんな不満が挙がったのか?
テレワークの浸透など、日本企業に大きな変化をもたらしている新型コロナウイルスの感染拡大。こうしたコロナ禍を受け、転職を前向きに考える人も多いようだ。日経HR(東京・千代田)が9月4日、「ウィズコロナ時代の転職」に関する調査結果を発表した。
コロナ禍を経験して転職意向に変化があったか聞いたところ、「非常に高まった」が35%、「少し高まった」が22%と、約6割が転職を前向きに考えていることが分かった。一方、転職意向が低くなったと回答した人は1割未満にとどまった。
転職意向が高まったと回答した人に理由を問うと「社員軽視の上層部判断が明らかになり、長く働けないと感じたため」「今の会社では働き方は変わりそうにないため」などが挙がった。自らのキャリア構築というよりは、コロナ禍への対応が十分でないことへの不満など、外的要因から転職を考えている人が多そうだ。
その一方で、転職市場の先行きに関してはシビアな見方が目立った。「非常に厳しくなる」「やや厳しくなる」を合わせて8割近い人が今後の転職市場に関して悲観的な意見を持っている。
こうした状況を踏まえると、企業側は不用意な離職を生まないためにも「ビフォーコロナ」に後戻りすることなく変化に対応していくことが急務だといえる。今回の調査では、「挑戦したい『新しい働き方』」に関しても質問。上位に挙がったのは「リモートワーク・在宅勤務」(52%)、「副業」(39%)などだった。旧来のやり方にとらわれず、こうした柔軟な働き方・人事制度を整えていけるかが焦点となるだろう。
調査は2020年7月30日〜8月7日の期間、インターネット上で実施。同社の運営する転職サイト「日経キャリアNET」登録会員を対象に行い、735人から回答を得た。
関連記事
- テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た
テレワークで表面化した、マネジメント、紙とハンコ、コミュニケーションなどに関するさまざまな課題。しかしそれは、果たしてテレワークだけが悪いのか? 筆者は日本企業がなおざりにしてきた「ツケ」が顕在化しただけだと喝破する。 - せっかく採用したのに! 若手社員はなぜ、退職してしまうのか
入社3年で退職する大卒者は3割。厚生労働省の調査から、こうしたデータが明らかになっている。せっかく採用したのに、なぜ若手社員は退職してしまうのか?「最近の若いヤツは……」で済む問題ではない。知っておくべき「若いヤツ」の考えとは。 - 社員に「何か手伝うことはないですか?」と言わせる会社が時代に合わなくなっていくと思える、これだけの理由
若手社員にありがちな、定時後の「何かやることありますか?」という伺い立て。日本企業は個々の役割分担があいまいだからこそ、こうした「職場第一主義」的ななりふりが求められてきた。しかし、時代の変化によって、こうした職場第一主義から抜け出す必要が生じてきている。 - 話題の「社員PC監視ツール」がテレワークを骨抜きにしてしまう、根本的理由
テレワークで従業員がサボらず仕事しているかを“監視”するシステムが話題になった。テレワークは本来「成果」を出すためなら「働く場所」を問わない制度のはず。こうしたシステムが出てくれば、テレワークが骨抜きになってしまい、生産性を高める「成果主義」が定着しない、と新田龍氏は指摘する。 - 「他と違った行動を認めない」「テレワークで細かく監視したがる」上司が、企業のイノベーションを阻害している
新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワーク化が進められている。一方で、「相変わらず、対面の社内ミーティングが必須」といった企業も少なくない。こうした現状について、『職場の問題地図』などの著書で知られる業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね氏は、「日本型マネジメントの根底には、“幼稚性”がある」と指摘。インタビューで真意を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.