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コロナでも出社? 経理の完全リモートワークを阻む壁アフターコロナ 仕事はこう変わる(1/3 ページ)

コロナ禍によってリモートワークに移行した企業は数多い。緊急事態制限が解除された今も、企業の働き方は「全員出社」から「出社とリモートワーク併用」が増加している。しかし、仕事によってはなかなかリモートでの業務が難しい。代表的な職種の1つが経理だ。

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アフターコロナ 仕事はこう変わる:

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。

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 コロナ禍によってリモートワークに移行した企業は数多い。緊急事態制限が解除された今も、企業の働き方は「出社とリモートワークの併用」が増加している。しかし、仕事によってはなかなかリモートでの業務が難しい。代表的な職種の1つが経理だ。

 経理の業務はなぜ出社が必要になり、リモートが難しいのか。またそれを解決するためのポイントは何なのだろうか。

“紙”が阻むリモートワーク

 まずリモートでの対応が難しいのが経費などの精算だ。小口精算などで誰もが経験があるように、数字をシステムに入力するだけでなく、領収書の原本を提出することが求められる。そして経理側は、領収書と数字を突き合わせてチェックしなくてはならない。紙が介在するがゆえに、出社が避けられない業務だ。

 もちろん、こんな非効率をなくすため、法律面でも対応が進んできた。2016年に改正された電子帳簿保存法では、一定の条件を満たせば領収書画像の保存でもOKとなった。さらに2020年度税制改正では、電子的に支払い証明があり、対応するシステムを導入しているなどの条件を満たせば領収書自体も不要になる(関連記事参照)。

 それでも「法要件を満たしたシステムでないと、紙ベースで、出社ありきの業務フローにならざるを得ない。電子帳簿保存法への対応状況は20%くらいだ」と中小企業向けに経費精算などのクラウドサービスを提供するラクス(東京都渋谷区)の八幡恭輔財務経理部長は話す。


ラクスの経理チーム。左から國生洋志氏(経営管理本部 経理財務部 管理課 課長)、八幡恭輔氏(経営管理本部 経理財務部 部長)、冨仁志氏(経営管理本部 経理財務部 経理財務課 課長)。(写真はラクス提供)

 2つ目は請求書だ。「紙が多い。商習慣もあるし、ツールを入れないと電子請求書はまだまだ実現できない」と八幡氏。ラクスではWeb請求書発行システムをSaaSで提供しており、もちろん自社でも利用している。ところが「紙で受領したいというお客さまが1割くらいいる」(経理財務課長の冨仁志氏)ため、完全に紙をなくすことができていないのが実情だ。

 請求書を送るだけでなく、自社にも紙の請求書が届くことを考えれば、それを開けて内容をシステムに転記するためにも出社せざるを得ない。自社だけではペーパーレスを実現できず、取引先のすべてがペーパーレス化しないと、紙を使った業務はなくならない。経理業務をリモートワークにできない理由の1つがこれだ。

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