大戸屋監修のミールキットをオイシックスが販売 両社の業務提携にコロワイドの影響は:“紛争”が続く
大戸屋が監修したミールキットをオイシックスが販売する。大戸屋HDとオイシックスは業務提携契約を締結している。コロワイドとの“紛争”は影響するのか。
食品宅配大手のオイシックス・ラ・大地は9月10日、運営する食品宅配サービス「Oisix」にて大戸屋が監修したミールキットの販売を開始した。
今回販売するのは、2002年に登場してから現在に至るまで大戸屋で注文数1位の「鶏と野菜の黒酢あん」を再現した「大戸屋監修!鶏と野菜の黒酢あん/Kit2人前」(税込1717円)。今後も、大戸屋監修メニューの販売を予定しているという。
大戸屋を運営する大戸屋ホールディングス(HD)とオイシックスは8月14日に業務提携契約を締結したと発表。両社で「おうち大戸屋サブスクリプション事業(仮称)」を立ち上げるとした。今後、大戸屋HDとオイシックスが共同で冷凍総菜や弁当の製造・販売を手掛ける。また、オイシックスが扱っている有機野菜を使ったコラボメニューも共同開発する予定だ。新たに販売するミールキットも、この業務提携に沿ったものだ。
敵対的TOBの影響は?
大戸屋HDがコロワイドから敵対的なTOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている最中の発表だっただけに、業務提携が個人株主に与える影響が注目されていた。しかし、コロワイドは9月8日にTOBが成立する見通しになったと宣言。現在、大戸屋HDに対して臨時株主総会を招集するよう求めている。今後、大戸屋HDがこだわってきた店内調理や食材の調達方針が変わる可能性もある。
今後も、大戸屋監修のミールキットの販売は続くのだろうか。オイシックスの広報担当者は「現在、第2弾の開発を進めている。当社としては業務提携で決められた取り組みを粛々と進めていく」とした。大戸屋HDと業務提携した理由は、既に発表している「店内調理にこだわっている」という点よりも、あくまで「安心・安全な食事を届ける」という価値観が一致したためだという。
コロワイドは大戸屋HDの経営陣刷新を要求している。大戸屋HDの経営方針が大きく変わった場合、オイシックスとの業務提携にはどのような影響が出るのだろうか。
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