「タピオカバブル」がコロナで大崩壊 “聖地”原宿の閉店ラッシュと各社の生き残り策:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
タピオカバブルが新型コロナウイルスの影響で崩壊した。タピオカ専門店が集中する東京・原宿では閉店が相次ぐ。各社の生き残り策とは?
一過性のタピオカファンとは顧客層が違う
タピオカブームの火付け役である春水堂を国内で18店、直営にて展開するオアシスティーラウンジ(東京都港区)でも、メニューを強化。「ティーカクテル」という新しいドリンクの分野に挑戦している。
春水堂は1983年創業、台湾で50店以上を展開しているが、87年に「タピオカミルクティー」を発明し、世界にブームを起こした発祥店である。
日本1号店は、前出・オアシス社が13年、東京・代官山に出店した。また、「TPティー」というテークアウト専門のスタンドも、国内に10店展開している。
春水堂では、「麻辣排骨担々麺」や伝統的な豆乳スイーツの「豆花(トーファ)」のような食事メニューも充実しており、台湾フードの認知度を高めるのに貢献してきた。お茶の葉も無添加の高品質な素材を使い、シロップは店内でキビ砂糖を煮詰めて作る。また、店を彩る花もスタッフが生けるといったような、こだわりの店づくりを行っている。
それだけに、台湾フードを愛する人たちに根強く支持されており、一過性のタピオカファンとは顧客層を異にしている。そこが強みだ。
ティーカクテルは、6月19日にオープンした渋谷マークシティ店(東京都渋谷区)限定で提供している。お茶とお酒を合わせた新感覚の大人のアレンジティーで、7種類(そのうち2種類はノンアルコール)ある。さわやかで食事に合うティースパークリングや、タピオカ入りでスイーツ感覚の「タピオカ カルーアミルクティー」など、ユニークなラインアップだ。前菜からスイーツまで、130種以上もの台湾小皿料理と合わせて楽しめる。
また、7月21日にオープンした京都木屋町店限定で、抹茶と豆花がコラボレーションした「宇治抹茶豆花」を発売している。このように店舗ごとに名物メニューを作っていくのも、春水堂の特徴だ。
同社では「タピオカがブームになり、お茶を楽しむ文化がやっと育ってきたと思ったら、コロナ禍が来た」(同社広報)と認識している。台湾茶だけでなく、日本茶も提案する。そして、トッピングもタピオカに限らず、アロエなどを自由に組み合わせて楽しむアレンジティーの世界を広く知ってもらいたい。こういったスタンスが、果たしてどこまで伝わるのか不安もあるという。
タピオカ大崩壊から、コーヒーをメインとしたカフェと並び立つ、アレンジティーやティーカフェの豊かな世界へと再構築は可能なのか。コロナ禍の中で、模索が始まっている。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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