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アフターコロナで問われる「雇用と外注の境界」、海外雇用の時代到来か専門家のイロメガネ(5/6 ページ)

コロナ禍を受けた緊急事態宣言以降、働き方は大きく変化変した。リモートワークの急拡大による通勤不要を好意的に捉えた従業員も多いだろう。だが「働き方の変化」は、経営者側から見れば「雇い方の変化」となる。アフターコロナで雇用はどう変わるのか?

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再度、フラット化する世界

 業務のリモート化によって「外国人の雇用が容易になるメリット」は、低賃金に限らない。給料さえ払えば、世界中の優秀な人材を雇用しやすくなる点も極めて大きい。

 労働者にとっては世界中の人がライバルになる一方で、優秀な人材にとっては世界中の企業が就職先になる。雇用で場所による制限が消えることは、働く側も採用する側も競争が激化することを意味する。

 そしてこのような状況は05年に書かれた、トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」という書籍でとっくに示されている。

 「フラット化する世界」を乱暴に要約するならば「ITによって地理的・距離的なハードルが思い切り下がり、世界のどこにいても同じ条件で経済的な競争が行われる」という内容になる。やや古臭い言葉を使うならばIT革命的な話になるが、この状況はコロナによってさらに加速した。

 今年7月の「コロナで変わる、桃鉄・シムシティ的な都市開発」という記事で言及したように、在宅勤務が可能なツールと環境は10年前、場合によっては20年近く前にすでに普及していた。Skypeの誕生は03年で、その頃スマートフォンはほとんど普及していなかったが、メールは当たり前であったし、ブロードバンドも一般化しつつあった。つまりIT化といっても、コロナで進んだのは技術面でなく、ツールを使う側の意識の変化であり、これを第二次IT革命といっても過言ではない。

 このように全世界で雇用がフラット化すると、賃金もフラット化する可能性がある。「先進国に住んでいるだけで高い賃金を得られる」「新興国に住んでいるだけで低い賃金に甘んじる」、こんな状況も熱湯と冷水が混ざるように徐々に解消されるかもしれない。先進国の労働者にとっては悪夢だが、新興国の労働者にとってはメリットだ。

 さらなるフラット化により、先進国の平均賃金が下がり、新興国の平均賃金を押し上げるのか、それとも皆が比較優位的にメリットを得られる状況になるのか。いずれにせよアフターコロナの雇用は、影響受けたり与えたりする範囲が恐ろしく広範囲になる。

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