withコロナ時代の都市鉄道に、何が求められるのか:必要な存在であり続けるために(2/4 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、鉄道会社が大ダメージを受けている。利用者数が激減したことで、売り上げが大きく落ち込んでいるわけだが、今後の都市鉄道はどうなっていくのだろうか。
鉄道とライフスタイルの変化
終電の繰り上げ、テレワークの普及が働き方のスタイルを大きく変えた。都心部に多いオフィスワーカーは、鉄道で通勤することが多く、その人たちの利用がごっそり減った。「働き方改革」で残業も減った。若い働く人たちが職場の飲み会に嫌悪感を示しても、それほど問題にはならなくなってきた。もちろん、この状況では飲食店の経営も厳しくなっている。
一方、飲食店従業員のように夜間帯に働く人たちがいる。こういった人たちは、コロナ禍で労働時間が短縮されている。居酒屋チェーンによっては以前から終電までには帰れるようにしていて、そういったところはコロナ禍が終わっても労働時間は短縮されたままになると考えられる。
二交代または三交代の仕事は、夜間帯の仕事と入れ替わる時間が早くなり、出勤時間が早まることが予想される。例えば看護師などはそうだろう。全般的に交代の時間が変わる。
こうした変化に対してJR東日本は、時間帯別のポイントサービスや、オフピーク定期券などを検討している。JR定期券の割引率は私鉄よりも高く、格安だった。今後は普段どおりに通勤する人には高い値段の定期券を買ってもらおう、という考えだ。
企業によっては、テレワークの方針を打ち出しているところがある。例えばヤフーだ。10月から無制限リモートワークを原則とし、週に1回くらいの通勤であれば十分、という状況になっている。ヤフーは千代田区紀尾井町の大きなビルに本社が入居しているものの、多くの人たちはそこに通わなくなっている。
そうなると定期券利用そのものも減ってくる。ワークスタイル・ライフスタイルの変化が、必然的に都市鉄道に影響するのだ。
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