連載
丸亀製麺の売上高が対前年比90%まで回復 カギは「衛生マーケティング」と持ち帰り専用容器:飲食店を科学する(2/5 ページ)
コロナ禍に苦しむ外食産業。一方、丸亀製麺の売り上げ(8月)は対前年比90%まで回復した。どういった施策を行ったのか。
安心・安全の打ち出し
緊急事態宣言中に放映された丸亀製麺のテレビCMをご存じでしょうか?
このCMでは、アルコール消毒を実施していることや、店内の空気を5分ごとに換気していることといった新型コロナウイルス対策を15秒で分かりやすく伝えています。
新商品のアピールなど、マーケティング目的でテレビCMは利用されることが多いのですが、丸亀製麺はいち早く店内のコロナ対策をアピールしました。
私はこうした活動を「衛生マーケティング」と呼んでいます。コロナ禍の初期段階で衛生マーケティングを行った会社と行わなかった会社では、7月以降の集客回復に大きな差が出ています。消費者2000人を対象に行ったあるアンケートでも、多くの消費者が「店内の衛生環境の動画」に対して、最も高い関心を示していました。
こうした消費者データを分析した上で、当社のコンサルティングご支援先でも、店内換気や衛生対策を打ち出す動画を一緒に作成してSNSなどでPRしました。そして、その次に各種キャンペーンや新商品のPRを実施しました。その結果、かなりの反響があっただけでなく、大きな集客効果がありました。コロナ禍にもかかわらず、売上高が対前年比100%を超える店舗もありました。
ウィズ・アフターコロナにおいては、こうした消費者心理の変化を敏感に捉えた上で、対応策を“次々”と“スピーディー”に打ち出していく「仮説立案力」「意思決定力」「行動力」がとても重要となります。これはコロナ禍に限らず、非常時の経営においては鉄則です。
関連記事
- 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - 「タピオカバブル」がコロナで大崩壊 “聖地”原宿の閉店ラッシュと各社の生き残り策
タピオカバブルが新型コロナウイルスの影響で崩壊した。タピオカ専門店が集中する東京・原宿では閉店が相次ぐ。各社の生き残り策とは? - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「生ビール190円」の原価率は85%? お客が3杯飲んでもしっかり利益が出る仕組みとは
「生ビール1杯190円」という看板を見かける。安さでお客を引き寄せる戦略だが、実は隠されたメリットもある。どんな狙いがあるのか。 - 吉祥寺でステーキ戦争勃発 「いきなり!」「やっぱり」「ステーキ屋松」の決定的な違いをプロが分析
沖縄発の「やっぱりステーキ」が東京・吉祥寺に進出。この地には「いきなり!ステーキ」と「ステーキ屋松」がある。プロが3店舗を分析して分かった決定的な違いとは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.