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丸亀製麺の売上高が対前年比90%まで回復 カギは「衛生マーケティング」と持ち帰り専用容器:飲食店を科学する(3/5 ページ)
コロナ禍に苦しむ外食産業。一方、丸亀製麺の売り上げ(8月)は対前年比90%まで回復した。どういった施策を行ったのか。
テークアウト強化
前項で述べたように、丸亀製麺では初めにテレビCMで衛生マーケティングを行った後、テークアウトをPRするCMを打ち出しています。私はこのマーケティングの順序がとても重要だと思っています。
仮に放映順序が逆だった場合、多額の広告費をかけてテークアウトのCMを放映しても「感染が心配だから買いに行きたくない」と思われてしまう可能性があります。これでは広告効果を高めることはできません。
さらに同社のテークアウトのCMからは「テークアウトだからといって味に対しての妥協を許さない姿勢」が見てとれます。具体的には、自宅でも丸亀製麺の「打ち立て」「ゆでたて」「もちもち」などを体験できるように、わざわざ専用の容器を開発しています。こうした取り組みにより、3月時点では1.6%程度であった売り上げに占めるテークアウト比率を6月には14.7%にまで上昇させています。
専用容器には中蓋が付いており、麺とだしが別々になっています。天ぷらなどのトッピングは別の箱で持ち帰ることができます。こうした工夫により、店内と同等のクオリティーを再現しているのです。
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