生産性を高める「健康」と「幸福」 総務が防ぐべき“宝の持ち腐れ”とは?:「総務」から会社を変える(2/4 ページ)
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。コロナ禍の中、いかに従業員の「健康」を維持・増進し、「幸福」へとつなげられるかが総務主導で生産性を高めるカギだと豊田氏は指摘する。
経営コンサルティングなどの事業を展開するIdeal Leaders(東京・千代田)でCHOを務める丹羽真理さんによると、まず必要なのは「Purpose」、すなわち存在意義だという。
つまり、企業の存在意義と個々の従業員の存在意義が重なり合う部分が大きいほど幸せを感じる。企業の存在意義とは、よく聞く「ビジョン」や「ミッション」とは異なり、なぜその企業が存在しているのか、という根幹の部分である。従業員の存在意義に関しては「どのような仕事に携わっていると楽しいか」くらいの意味に捉えると良いかもしれない。
次に幸福経営の構成要素となるのが「Authenticity」、自分らしさだ。つまり、従業員が自ら得意な仕事を裁量権を持って行えると幸せであるということ。さらに、「Relationship」、関係性も重要だ。組織は人の集まりである、そのメンバー間に相互理解があり、その関係性において、ポジティブなフィードバックがあると幸せを感じるものだ。
ただ、これら3つの構成要素を満たしていても、その土台となる「Wellness」、心身の健康が実現していないと幸福にはならない。つまり、幸福経営において最も基本的なことは、心身の健康なのである。この健康状態の維持、さらにはどう増進していくか。これは、コロナ禍によりさらに重要な問題となりつつある。
「目の前に居ない状態」での健康管理、どうする?
社会はウィズコロナ時代に突入し、目の前にメンバーがいない状態で労務・健康管理をしなくてはならないこととなった。特に問題なのがメンタルケアだ。こと一人暮らしだと、丸1日誰とも話をしない状態になることもあり、孤独感に苛まれる人も多いだろう。
また、隣にいればすぐに聞けたことも、チャットや電話、あるいはWeb会議に接続して質問するとなると、何となくハードルが高く感じることもある。この「すぐに聞けない状態」が続くと、いろいろな不安や疑問を抱えながらも業務を遂行していかねばならず、それが蓄積されていくと、精神的に大きな負担となる可能性もある。
筆者が先日取材した企業では、オフィスを解約して完全リモートワークに移行した。このような課題をどのように解決しているのだろうか。
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