コロナ禍で公的融資と銀行の隙間をつなぐ トランザクションレンディングの社会的意義(1/2 ページ)
過去の取引データなどをもとに中小企業などに融資を行う仕組みであるトランザクションレンディングは、フィンテックの中でもコロナ禍で注目されているものの1つだ。米国では早くからサービスが拡大してきたが、コロナ禍において、その融資スピードの速さから注目された。国内でも、コロナ禍を機にニーズが高まっている。
「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵:
「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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過去の取引データなどをもとに中小企業などに融資を行う仕組みであるトランザクションレンディングは、フィンテックの中でもコロナ禍で注目されているものの1つだ。その融資スピードの速さから注目され、ニーズが高まっている。
「トランザクションレンディングのニーズが、コロナ禍で変わってきた」。そう話すのは、銀行口座の利用履歴に基づいて決算書不要で融資するサービス「dayta」を提供する住信SBIネット銀行の柴田直良氏(ファイナンス事業部長)だ。
コロナ禍を受けて、政策金融公庫など政府系の金融機関は、事業継続のための資金を積極的に貸し出している。緊急事態ということもあり、中小企業で借りられないというところはほとんどない。ただし、窓口には融資相談が殺到し、4月には審査の受付に2カ月も待たなければいけないという事態も発生した。
「公庫の順番待ちをしている間にキャッシュがショートしてしまう、という企業からの借り入れニーズが発生した」と、柴田氏は話す。
daytaでは、口座の入出金データをAI与信モデルが自動で分析し、いくら貸せるか、金利はいくらかを事前に審査する。その上で、ネットバンキングの画面やメールで、事前に融資条件を知らせる。企業は、借りるニーズが生まれたら申し込めば、書類提出や面談不要で、最短当日に着金を受けられる。
コロナ禍で発生したトランザクションレンディングニーズ
これまで何度もメールで条件をオファーしていたが全く反応のなかった住宅デザイン事業を営む会社が、3月に突然反応したという。「電話でヒアリングしたところ、コロナ禍で資金繰りが厳しいが、政府系金融機関は融資実行まで1カ月かかる。待っていられないということで、借り入れしたということだった」(柴田氏)
こうしたつなぎ融資だけでなく、コロナが追い風となったことでの融資もあった。あるスマホゲーム開発会社は、開発の発注が来たが、製作期間中は支払いが先行するため資金ニーズが発生したという。ところが、政府系金融機関に行っても順番待ちとなり、daytaで上限まで借り入れを行った。
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