身体年齢が若い社員は、年金の掛け金を増額! 健康経営のユニークな企業事例:最大で年額6万円増額(2/3 ページ)
病気になってから治療に通うのではなく、普段から健康管理に気を付けようというのが近年の潮流である。健康意識を高めるために、ユニークな方法を取り入れた企業の事例を紹介する。
確定拠出年金とは、企業や個人が私的に積み立てる年金である。老後の生活を支える年金といえば公的年金を思い浮かべるかもしれないが、毎月掛け金を積み立てて運用し、将来に年金を受け取る私的年金もある。そのうち、福利厚生制度として企業が負担して社員のために掛け金を拠出するのが企業型確定拠出年金だ。社員にとっては、長く勤めるほど、また掛け金が多額なほど、将来受け取れる年金が多くなる。
同社では2017年から各社員のパーソナルスコアを計測し、実年齢よりも身体年齢が若ければ1歳につき1000円、確定拠出年金の掛け金を会社が増額するインセンティブを付けた。ただし月額の上限額は5000円、年間上限額は6万円である。つまり実年齢より5歳以上若いスコアなら、掛け金が最大で年額6万円増額される。
「もともと当社は、社員のスキルアップなどの奨励金に力を入れていました。情報処理の国家試験など各種資格を取得した際には一時金を支給していますが、さらに福利厚生の一環として、身体年齢計測を始めたのです。うつ病と運動量に相関関係があるとも聞きましたので、健康意識を高めることで、こころとからだの健康という経営課題への効果を期待しました」と森淳一社長は語る(以下、発言は同氏)。
身体年齢を計測すると、すぐに効果が出始めた。初回計測の半年後、腹囲85センチ以上だった男性の8割に腹囲の減少が見られたという。健康状態が指標で示されると、行動変容を生む。強制的に食事制限をしなくとも、指標が意識を変える。それにより、2型糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクが着実に減少する。
ところが、身体年齢が実年齢よりも大きく上回った一部の社員は、2年目の測定に参加しなくなった。諦めてしまったのだ。
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