「オフィス、もういらないかも?」 と思えるフルリモート企業の成功事例 カギは「ワイワイ・ガヤガヤ感」:ソニックガーデンに学ぶ(1/4 ページ)
新型コロナの影響で一気に広まったリモートワーク。さまざまな課題が浮き彫りになっているが、中でも「ワイワイ・ガヤガヤ感」を醸成し、どこにいても同じコミュニケーションを取れるようにすることは重要だ。では、どうすればいいのか。
2020年9月16〜18日、幕張メッセで「第15回 東京 総務・人事・経理Week」が開催された。総務、人事、経理、法務の担当者や経営者が来場し、商談をするための展示会で、働き方改革や新型コロナウイルス感染対策、業務効率化などに関する製品やサービスが多数出展。有識者による講演も行われた。
今回はその中から、ソニックガーデン マーケティング統括/リモートワーク研究所 所長 八角嘉紘氏による「物理オフィスがない完全リモートワーク! フルリモートワークでも成果を上げる秘訣とは?」の様子をお伝えする。
「当たり前」ではないさまざまな制度
ソニックガーデンは2011年に、SIer大手であるTISの社内ベンチャーをMBO(Management Buyout)して創業した。現在の社員は44人で、システム受託開発と自社サービスの開発・販売を行っている。八角氏は、入社したのが19年と最近ではあるものの、取引などを通して14年からソニックガーデンと付き合いがあったという。現在は、マーケティングや広報活動、サービス部門の責任者となっている。
ソニックガーデンは、上司や指示命令、承認、決済、部署、管理職、売り上げ目標、評価など、一般の企業では「当たり前」に存在するものがない。さらには、事業内容も変わっている。通常であれば、発注側がシステム開発会社へ相談に行ったら、見積もりをもらう。そしてその後、何カ月か後に成果物が仕上がったら納品があり、お金を支払って終わりになる。
一方、ソニックガーデンでは「納品のない受託開発」というサービス名でシステム開発を行っており、見積もりや要件定義、ドキュメント、プロジェクト、時間契約といったものもない。「分かりやすく言うと、弁護士とか税理士のような顧問業のシステム開発版です。月額固定の顧問料をいただきながら、ちょっとずつ相談に応じてシステムを作っていくサービスです」(八角氏)
システム開発業界では変わったビジネスモデルとなっているが、このビジネスモデルがソニックガーデンの特異な働き方とかなり密接に関わっているという。
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