カルビー、「じゃがりこ」中国展開を本格化 日本よりも“濃い味”に:海外売上高を拡大へ
カルビーは、スナック菓子「じゃがりこ」の中国での販売を本格化する。中国向けとして3商品を新発売した。海外売上高の拡大に向けて、重点地域である中国で市場開拓を目指す。
カルビーは10月26日、スナック菓子「じゃがりこ」の中国での販売を本格化すると発表した。中国向けとして3商品を新発売。現地調査を踏まえて開発した味や、日本での知名度を生かしたパッケージによって、若い女性のニーズを取り込む。海外売上高の拡大に向けて、重点地域である中国で市場開拓を目指す。
じゃがりこは、カリッとした食感が特徴のロングセラー商品。2020年10月23日に発売25周年を迎えた。日本国内では、派生商品を含めて年間約4億個を生産。同社の調査によると、ブランド認知率は99%だという。
中国では、17年から越境ECサイトで「フルグラ」などカルビー商品の販売を開始。その後、小売店や一般のECサイトにも販路を広げたが、スナック菓子は「じゃがポックル」や「Jagabee」の人気が先行しており、じゃがりこの販売はEC中心にとどまっていた。中国市場でのブランドの認知度を高めるため、中国向け新商品の発売に至った。
9月に発売した新商品は、じゃがりこ(中国名は「土豆棒」)の「色拉味(ポテトサラダ味)」「海苔黄油味(のり塩バター味)」「扇貝黄油醤油味(ほたてバターしょうゆ味)」の3種類。オープン価格だが、想定価格は15元前後(230円前後)。
主要ターゲットである20〜30代女性を対象に実施した消費者調査では、従来の商品について「味が薄すぎる」といった意見があったことから、ポテトサラダ味では、日本で定番のサラダ味にマヨネーズ風味の味付けを加えて、酸味が後を引く味わいに仕上げた。のり塩バター味は、香り豊かなのりとバターのまろやかなコクを組み合わせた。ほたてバターしょうゆ味は、中国で人気のホタテにしょうゆとバターを加えて香ばしく焼き上げており、ホタテのうまみが特徴となっている。
また、日本で人気のスナック菓子だというイメージが強いことから、パッケージには「日本製造」の表記を目立つ位置に入れ、日本発祥のじゃがりこであることがイメージしやすいデザインにした。
中国での新商品発売に合わせて、SNSを使ったプロモーション活動も開始。プロモーション動画の配信や動画投稿キャンペーンを実施し、大きな反響を得ているという。
同社は、24年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画で、海外売上高800億円、海外売上高比率25%という目標を掲げている。北米、中華圏、英国、インドネシアという重点4地域で収益基盤を確立するためにも、中国でのブランド構築を急ぐ。
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