従業員に“報いる”経営で31期連続増収増益 埼玉の「ヤオコー」がコロナ禍でも成長する理由:独自の経営哲学(2/5 ページ)
郊外の食品スーパーはコロナ禍でも順調。その中でも埼玉が地盤のヤオコーは31期連続増収増益で、コロナ禍でも絶好調。強さの秘密は従業員に“報いる”経営スタイルにあった。
26年連続最高益
巣ごもり需要の恩恵を受けたのは、前回紹介したニトリなどのインテリア・家具用品と食品です。特に、郊外立地の食品スーパーは、都心立地のコンビニが売り上げを落とす中、成長を続けています。
日本スーパーマーケット協会(JSA)に加盟する各社の売り上げも4月以降好調なのですが、ヤオコーはその平均を軽く上回り、8月までは毎月二桁の伸びを示していました。客数は毎月前年割れの状況ですが客単価は120%超伸びており、売り上げを押し上げています。
ニトリなどと違うのは、食品は購入頻度が高いという点にあります。食品は毎日購入する人も多いものです。しかしコロナの影響で混雑する場所に毎日出かけたくない。そこで、購入回数を減らして1回で購入する量を増やすという状況がこの半年ほど続いています。来店客数は減少しているものの、購入点数の大幅増加によってヤオコーは二桁の伸びを示しているのです。
では、なぜヤオコーは全国の食品スーパーを上回る伸びを示しているのでしょうか。それは次のデータを見るとよく分かります。
ヤオコーは客数が少ないからといって、一品単価を「高く」して売り上げを伸ばしていません。一品単価は上がっていますが、2〜3%の伸びです。伸びているのは買上点数です。業界ではPI値(Purchase Index:総買上点数÷総客数×100%)と呼びます。この数字が高ければ高いほど客の支持率が高く、満足度も高いことを意味します。
ちなみに、ヤオコーの前年度の年間平均PI値が102.3%だったことを考えると、非常に高い支持率を得ている売り場だと分かります。このPI値が高くなるような売り場を作れていることがヤオコーの成長のポイントなのです。
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