コロナ禍で乾麺・袋麺が“バカ売れ” 伏線は、朝ドラの「まんぷく」にあった:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
これまでカップ麺に押されていた乾麺・袋麺が、コロナ禍の影響で売れている。在宅勤務の普及などが原因だが、NHK連続テレビ小説「まんぷく」も影響していると筆者は指摘する。その理由は?
「チキンラーメン」過去最高の売り上げ
今日の袋麺活性化の前史として、2018年10月〜19年3月に放送された、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の波及効果が挙げられる。即席ラーメン「チキンラーメン」を発明し、現在の日清食品ホールディングスを創業した、安藤百福と仁子の夫婦愛と半生を描いたドラマで、ちょうど18年は創業から60周年となっていた。
まんぷく効果や、SNSで話題になった旨辛風味具材付「チキンラーメン アクマのキムラー」のヒットもあって、19年3月期に「チキンラーメン」は過去最高の売り上げを15年ぶりに更新。510万ケース(1ケース=30食)に達した。
また、日清は商品の新しい売り方にも取り組んでいる。17年から、お椀に入れて食べるのにちょうどいいくらいの小サイズの商品「お椀で食べるシリーズ」を発売している。背景には、シニア人口の増加やダイエット志向がある。従来の袋麺やカップ麺のサイズでは多すぎると感じる人が増えていた。
日清ではお椀で食べるシリーズやアクマのキムラーのような、消費者の新しいニーズに応えた袋麺を「プライム袋めん」とカテゴライズして拡販し始めた。
20年9月14日には、若年ファミリー向け商品を発売。国道沿いのラーメン屋にあるようなパンチの効いた濃い目のスープが特徴の「日清これ絶対うまいやつ!」3食入りを、背脂醤油、濃厚味噌、豚骨醤油の3つの味で販売している。
このように、業界最大手の日清が、ここ数年で話題を提供し続けたことも、コロナ禍における袋麺の爆発に寄与した。
現在は、「鬼滅の刃」コラボ企画を推進中だ。10〜11月に、対象商品を含む購入レシートで、カップ麺用“フタどめ”フィギュアが計2000人に当たるキャンペーンを実施している。
コラボ商品としては、10月5日に鬼滅の刃限定パッケージのカップ麺3種が発売されている。一般の袋麺の「チキンラーメン」「出前一丁」「日清焼そば」(5食パック)や、「チキンラーメン アクマのキムラー」「出前一丁 ゴリラ一丁 スタミナガーリックニラそば野郎」の具付き3食パックも対象商品に入っている。つまり、袋麺の販促にもなっているのだ。
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