「通勤」は減っていく? 東急の6700人アンケートから読み解く、これからの鉄道需要:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)
東急は、アプリを通じて6760人に実施したアンケート結果を発表した。新型コロナの影響で在宅勤務などが広がり、鉄道の需要は低下。しかし、今後も定期券を更新する人は多く、転居しようとする人も少ない。通勤需要は元通りには戻らないが、ある程度回復しそうだ。
JR東日本、JR西日本など多くの鉄道事業者が7月から8月の時点で「通勤需要は元通りにならない」という見通しを示した。東急のデータも元通りとはならないと示している。ただし、大幅な落ち込みではなく、8割〜9割程度の回復で落ち着きそうだ。JR西日本も同様の手応えを把握しているようで、10月30日に「2021年4月から6月にかけてコロナ前の9割程度へ回復する」という社長談話が報じられた。
東急アプリでは10月24日から2回目のアンケートを実施している。前回と同様の集計期間とすれば、今年中にも集計結果が公表されるかもしれない。データの受け取り方はさまざまで、私とは異なる見方もあると思う。より多くの人々がこのデータから考察を進めることで、今後の生活が見通せるようになるだろう。まずは東急の「アプリを使ってユーザーの動向を知る」というアイデアと「その結果を公開する」という英断をたたえたい。さらに知見を集めるために、アプリを公開している他の鉄道事業者も検討していただきたい。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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